ヤマハ・YBR

ヤマハYBRシリーズ：世界を駆け巡る頼れるオートバイ

ヤマハ発動機が海外市場向けに展開するYBRシリーズは、125ccと250ccの2つの排気量を擁するオートバイです。2000年に登場したYBR125は、ブラジル市場におけるホンダCG125に対抗するモデルとして開発されました。その高いコストパフォーマンスと信頼性から瞬く間に人気を博し、中国、インドなどへの生産拠点拡大、そして世界各国への輸出へとつながっていきました。

YBR125：グローバルスタンダードとしての進化

YBR125の心臓部は、2000年に開発された123cc空冷単気筒OHC4サイクルエンジンです。販売地域や仕様によって、搭載されるエンジンや装備品に違いが見られます。フロントカウルの有無、ブレーキシステム（ドラム式、ディスク式）、キャブレターとフューエルインジェクション（FI）の採用など、多様なバリエーションが存在します。中国市場では、フロントカウル付きの「天剣」やオフロード仕様の「YBR125G」、アメリカンスタイルの「YBR125SP（欧州ではCustom）」といった派生モデルも登場しました。さらに、「YBR125KG」では、ウィンドシールドや大型タンクシュラウド、キャブレターヒーターが追加装備されています。

エンジンにはバランサーが搭載されているため、単気筒エンジン特有の振動が抑えられています。優れた燃費性能と11Lの大容量燃料タンクにより、400～500kmもの航続距離を実現しています。欧州市場向けには、2007年以降、EURO-III排出ガス規制に対応したFIエンジンが搭載されるようになりました。一方、日本市場では、当時の騒音規制の厳しさから並行輸入での販売が中心でした。

YBR250：さらなるパワーと信頼性

YBR250は、YBR125の上位モデルとして登場しました。ブラジルで生産されるYS250 Fazerと同一の車種であり、中国市場では「天剣王 YBR250」として販売されています。ヨーロッパではYBR250として広く親しまれています。セロー250と同型の250cc空冷単気筒エンジンを搭載し、19Lの大型燃料タンクと太いタイヤを採用するなど、YBR125よりも力強い走りを実現しています。

ファームバイクとしての活躍：YB125 チャカレーラ

南米諸国、特にペルーでは、YBR125をベースとした農耕・牧畜用途のファームバイク「YB125 チャカレーラ」が販売されています。YBR125のフレームとエンジンをほぼそのまま使用しており、ヤマハAGシリーズの下位モデルとして位置付けられています。

日本市場におけるYBRシリーズ

日本国内では、当初並行輸入車として販売されていましたが、2011年7月からはヤマハの販売店であるYSPでもYBR125/250の販売が開始されました。ただし、型式認定を取得した国内正規車ではなく、輸入車として販売されています。YSPで販売される車両は、主に中国の重慶建設ヤマハ有限公司が製造するFIエンジン搭載車ですが、店舗によっては独自に輸入したキャブレター仕様の車両も販売されています。

YBRシリーズの足跡

YBRシリーズは、その高いコストパフォーマンスと信頼性、そして世界各国に合わせたバリエーションによって、グローバル市場で大きな成功を収めました。過酷な環境下でも活躍できる堅牢性と、長距離走行にも耐える高い実用性が、世界中のライダーから支持されている理由と言えるでしょう。多様なニーズに応える柔軟性も、YBRシリーズが長く愛され続ける理由の一つです。 地域ごとのニーズに合わせたモデル展開や、農耕用モデルなど、YBRシリーズは単なる交通手段を超えた、人々の生活に寄り添う存在となっています。

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