ヤミ専従

ヤミ専従とは

ヤミ専従（やみせんじゅう）とは、労働組合の役員が勤務中に適切な手続きを取らず、実際には組合活動に従事しているにもかかわらず、給与を受け取る行為を指します。この問題は主に地方公務員の間で特に顕著に現れています。

法律との関連

地方公務員は勤務時間中に職務専念義務が課せられているため、地方公務員法第35条に違反する行為となります。ただし、第55条第8項では「適法な交渉」とされる活動については勤務時間中に行うことが許されています。この背景を受けて、1966年には自治省が「職員団体のための職員の行為の制限の特例に関する条例」、通称「ながら条例」を定めました。この条例により、地方公共団体は勤務時間中の組合活動の許可範囲を通達しました。

適法な範囲

この条例では、以下の三つの活動について職務専念義務が免除されます。
1. 適法な交渉を行う場合
2. 休日及び休日の代休日（特に勤務が命じられた場合を除く）
3. 年次有給休暇または休職期間

ただし、一部の地方公共団体では「準備行為」と称して交渉以外の活動にも適用されていたため、不正なヤミ専従を助長する原因となることもありました。2009年にはこの問題が調査され、違反している団体名が公表されることで改正が進むことになりました。

問題事例

東京都職員組合

1970年、東京都監査委員会が職員のヤミ専従を告発しました。これを受けて、都知事はヤミ専従を根絶するための努力を行うと表明しました。

大阪市役所の労組

2005年、大阪市の労働組合職員が勤務をせずに組合活動を行っていたケースが発覚しました。市民団体からの通報により大規模な調査が行われ、963人中129人が不正な活動に関与していたとされました。この調査において、過去3年間に不正に受給した給与が約1億5,400万円にのぼることも明らかになりました。市はその後、有給の組合活動を「適法な交渉」のみに限定する条例改正を行いました。

社会保険庁の労組

2007年に行われた調査では、全国で29人の職員がヤミ専従の事実が確認され、約9億円の不正支出が明らかになりました。この問題は国民からの信頼を損ない、大規模な謝罪や責任を求める声が上がりました。

北海道開発局

2009年には北海道開発局の職員がヤミ専従を行っていた問題も明るみに出ました。国土交通省は、職員の65%にあたる4119人に対して処分を行うこととなりました。

神戸市の職員労働組合

2018年には神戸市の職員労働組合がヤミ専従を行っていたことが発覚しました。調査の結果、関与した職員数は100名を超え、元副市長までもが対象となるなど広範囲にわたって問題が指摘されました。

まとめ

ヤミ専従は、公務員としての職務をきちんと果たさずに給与を受け取る行為であり、業務の透明性や公正性に対する深刻な影響を及ぼします。この問題は、労働組合の活動が法令に基づいて行われるべきであるとの社会的な期待にも反するため、引き続き厳正な監視と適切な対策が求められています。

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