ヤモリ下目

ヤモリ下目（Gekkota）の詳細解説

ヤモリ下目（Gekkota）は、有鱗目に属する下位分類群の一つであり、その大きな特徴として、他のトカゲ類と比較して夜行性の種が多いことが挙げられます。このグループには、非常に小型の種も存在し、特にチビヤモリ科には、有羊膜類の中で最小と考えられる種が含まれています。

分類

ヤモリ下目は、2つの上科と7つの科に分類され、約120属1600種が確認されています。各科には、以下のような特徴があります。

Pygopodoidea（ヒレアシトカゲ上科）

イシヤモリ科 (Diplodactylidae): 25属130種が属します。多様な形態を持ち、オーストラリアを中心に分布しています。
ヒレアシトカゲ科 (Pygopodidae): 7属44種で構成され、四肢が退化しヘビのような外見を持つ種が多いです。オーストラリアに固有です。
カワリオヤモリ科 (Carphodactylidae): 7属30種で、こちらもオーストラリアに生息し、夜行性の種が多いです。

Gekkonoidea（ヤモリ上科）

トカゲモドキ科 (Eublepharidae): 6属30種からなり、まぶたを持つヤモリとして知られています。アジアや北アメリカに分布します。
チビヤモリ科 (Sphaerodactylidae): 約12属210種が属し、非常に小型の種が多いことが特徴です。カリブ海地域を中心に分布しています。
ユビワレヤモリ科 (Phyllodactylidae): 10属134種で、世界中の熱帯・亜熱帯地域に広く分布しています。
ヤモリ科 (Gekkonidae): 約55属1000種を含む、ヤモリ下目の中で最も種数の多い科です。世界中に広く分布し、様々な環境に適応しています。

化石種

ヤモリ下目の化石記録は、中生代から存在しており、主にアジア地域で発見されています。新生代の化石は、ヨーロッパを中心に産出しています。現生科に分類されないと考えられる化石属には、次のようなものがあります。

Cretaceogekko: ミャンマーで発見された白亜紀前期の化石です。
Hoburogekko: ゴビ砂漠で見つかった白亜紀前期の化石です。
Gobekko: ゴビ砂漠で発掘された白亜紀後期の化石です。
Laonogekko: フランスで産出した始新世の化石です。
Rhodanogekko: フランスで見つかった始新世の化石です。
* Cadurcogekko: フランスで発掘された始新世から漸新世の化石です。

これらの化石種は、ヤモリ下目の進化史を解明する上で貴重な資料となります。

系統

ヤモリ下目の系統解析の結果、フタアシトカゲ科（Dibamidae）を除く他の有鱗目（Autarchoglossa）の姉妹群であることが示唆されています。これは、ヤモリ下目が有鱗目の中で比較的初期に分岐したグループであることを示しています。

ヤモリ下目は、その多様な形態や生態、そして長い進化の歴史を通じて、非常に興味深い研究対象となっています。分類学的な研究だけでなく、発生学、生態学、分子生物学など、様々な分野からの研究が進められています。

もう一度検索