ヤンカウの戦い

ヤンカウの戦い (1645年)

ヤンカウの戦いは、1645年3月5日にボヘミア南部のヤンカウにて発生した戦闘で、三十年戦争の中でも特に惨烈な戦いの一つとされています。この戦いによって、スウェーデン軍が神聖ローマ帝国軍を打ち破りました。

背景

この戦闘の背景には、ボヘミアを守るための緊迫した軍事的動きがありました。マティアス・ガラスが指揮する帝国軍は、ホルシュタインの南方へと撤退しており、これに続いてスウェーデンの指揮官レンナート・トルステンソンが追撃を行っていました。この状況を受けて、皇帝フェルディナント3世は、ボヘミアの防衛を強化するためにハンガリーから軍を派遣しました。

メルヒオール・フォン・ハッツフェルト将軍は、撤退中の軍勢の指揮を継承し、新たに兵士を編成しました。その後、ヨハン・フォン・ゲッツェンの軍が支援に加わり、さらにバイエルン選帝侯が増援を派遣したため、皇帝軍は合計で1万6千の兵力を整えることに成功しました。

戦闘の経過

両軍の兵力は約1万6千人で、戦闘は激しさを増していきました。戦いでは、容赦ない攻撃が展開され、スウェーデン軍が優位に立ちました。彼らの砲兵は質・速度ともに勝れており、戦局の変化にも迅速に対応しました。結果として、帝国軍は約半数にあたる7000人のみが戦場から脱出することができました。中央部にいたハッツフェルト将軍は包囲され、ほとんどの兵士が戦死するか捕虜となりました。4千から5千人が捕全となったとも言われています。

戦後の状況

ヤンカウでの敗北を受けた皇帝フェルディナント3世は、レーゲンスブルクへと後退しました。彼はさらなる増援を求め、バイエルン選帝侯マクシミリアン1世に対しては、シュレージエンとボヘミアの一部を担保に手を伸ばしました。しかし、バイエルンとフランスの戦闘が続いていたため、期待していた増援が得られませんでした。皇帝は次に教皇に資金援助を請う姿勢を見せましたが、1644年にウルバヌス8世が死去し、次代の教皇インノケンティウス10世はハプスブルク家を支持しなかったため、援助はもたらされませんでした。このため、皇帝は自らの資源に頼るしかない状況に追い込まれました。

一方、ヤンカウで勝利したトルステンソン率いるスウェーデン軍は、プラハとウィーンへの進軍を開始しました。4月にはウィーンから30マイルの地点まで迫り、ブルンを包囲することに成功しました。しかし、1645年の年末までにスウェーデン軍がプラハやウィーンに至ることは叶わず、連続する戦闘によって彼らは徐々に疲弊していきました。

この戦闘は、三十年戦争の中での戦局を大きく変化させる出来事であり、スウェーデンの台頭と帝国軍の衰退を象徴する戦いとして後の歴史にも語り継がれることとなりました。

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