捕虜

捕虜とは

捕虜（ほりょ、Prisoner of War, POW）は、武力紛争、すなわち戦争や内戦に関連して、敵国の権力にとらえられた者を指します。近代以前は民間人も含まれていましたが、現在では国際法により捕虜として認められる条件が厳格に定められています。具体的には、紛争当事国の軍隊の構成員や、民兵隊や義勇隊の一部として戦っていた者が捕虜の対象となります。

捕虜の歴史的背景

日本において、捕虜は第二次世界大戦以前には正式に「俘虜」と称されていましたが、明治以降は「捕虜」という用語も使用されるようになりました。日清戦争や日露戦争後からは「捕虜」という表記が増え、両方の用語が交互に使われていました。古代中国においては、敵国から攻め込んできた者を捕えることを捕虜と称していました。

近代国際法以前の捕虜の扱い

近代国際法が確立する以前は、捕虜は捕虜となった国の自由意志によって扱われ、時には奴隷とされたり殺されたりすることがありました。一方で、その能力が認められた者は優遇されることもあり、中世ヨーロッパにおいては捕虜を身代金と引き換えに返すことが多々ありました。

この時代、捕虜に対する扱いは国の体制や戦争の状況に大きく左右されました。日本でも、鎌倉時代後期の事例では、幕府に降伏した兵士が予期に反して殺害されてしまったことが、他の兵士たちの戦意を高める結果となりました。

イスラームの法学における捕虜の処遇

イスラームにおいても捕虜に関する様々な見解が示されています。11世紀に活躍したシャーフィイー学派の法学者マーワルディーは、異教徒の捕虜について殺害、奴隷化、身代金を要求することなど四つの選択肢を挙げました。また、捕虜の中には殺害されることが許される者もいましたが、それは強い危険がある場合や、改宗の見込みがない場合です。

捕虜の近代的保護

19世紀末から20世紀初頭にかけて、近代の国際法が整備され、捕虜に対する保護が法律で明文化されるようになりました。1899年のハーグ陸戦条約及び1949年のジュネーヴ条約の成立により、捕虜は人道的に扱われるべきであるとされ、捕虜となった者は、正当な理由無しに死刑にされることは許されなくなりました。

捕虜の士気を維持し、戦闘の無意味な継続を避けるために、敵国における捕虜の扱いの適正化が求められるようになりました。

日本における捕虜の歴史

日清・日露戦争や第二次世界大戦では、多くの外国兵士が日本軍の捕虜となりました。日清戦争においては、日本軍が捕虜に対して人道的に接することが求められましたが、現実には多くの捕虜が虐待される事例も存在しました。特に、戦時中の捕虜は日本国内において収容され、劣悪な環境に置かれたこともありました。

太平洋戦争の時期には、大規模な捕虜が発生し、捕虜は決して十分に保護されない状態でした。バターン死の行進などの事件は、戦争の残酷さを物語っています。

現代の捕虜の取り扱い

現代では、捕虜に対する権利と扱いが国際法によって明示されています。捕虜となった者は、生活環境や待遇に対する基本的な権利を有し、尋問に対しても必要以上の情報を提供する義務はありません。近年の紛争においても、国際法に従った扱いが求められています。

結論

捕虜についての理解は、ただ戦争の側面だけでなく、人道的観点や法的視点からも非常に重要です。国際法の進展と共に、捕虜の扱いについての基準が設けられてきたことを踏まえ、今後はより一層の人道的配慮が必要とされます。

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