ヤングマスター 師弟出馬

ヤング・マスター/師弟出馬

『ヤング・マスター/師弟出馬』は、1980年に制作された香港映画で、ジャッキー・チェンが監督・主演を務めた作品です。この映画は、ジャッキーがロー・ウェイプロダクションからゴールデン・ハーベスト社に移籍した際の第1作目であり、彼のキャリアにおいて重要なものとなりました。移籍の過程や本作の製作・公開に際しては、当初トラブルが発生したものの、最終的には和解に至りました。

映画では、従来のカンフー映画の要素である「かたき討ち」とは異なるストーリーが展開され、様々なアイテムを活用したアクションが特徴的です。その結果、興行的には大成功を収め、香港では1128万香港ドルという当時の史上最高額を記録しました。公開当時、アメリカにいたジャッキーは、香港の観客に感謝の意を表した電報を送っており、彼の努力が観客に伝わったことを示しています。

ストーリーは、孤児のドラゴンとタイガーが金龍道場で育つところから始まります。彼らは兄弟のように育った親友であり、正月の舞獅合戦でドラゴンが急遽出場しますが、タイガーの裏切りにより道場は町の笑い者になってしまいます。道場の師範は彼の行動に苦しみ、ドラゴンの不満が爆発します。物語は、タイガーが強盗団へ加わる過程や、ドラゴンが彼を救おうと奮闘する姿を描いています。

映画には、優れたアクションシーンが多く含まれており、特にジャッキーとハプキドーの達人ウォン・インシクによる死闘のシーンは相当な尺があり、ジャッキー作品の中でも屈指のものとなっています。また、当時若手のウェイ・ペイやユン・ピョウも出演しており、豪華なキャストが揃っている点も見どころです。

日本国内でも公開され、ジャッキー・チェンの歌手デビュー曲『さすらいのカンフー』がテーマソングとして使用されています。映画のバージョンには多様な編集が施され、国内版や国際版など様々な観点から楽しむことができます。

製作背景

映画の製作には、ジャッキーの移籍を巡るトラブルがありました。自身のプロダクションの初監督作品が成功した後、ロー・ウェイプロダクションに契約し直したジャッキーですが、彼の市場価値が上がるにつれて、他のプロダクションからの引き抜きが続きました。結局、ゴールデン・ハーベストへの移籍が実現しますが、その過程で数々のトラブルに見舞われました。契約内容の改竄やローとの不和、さらにはギャングの脅威にさらされるなど、ジャッキーは非常に困難な情勢に置かれました。

その中でも、ジャッキーは忠実にこだわり続け、撮影が進むにつれて自らの技術を駆使して映画のクオリティを高めていきました。撮影時には睡眠時間が約2時間と過酷であり、アクションシーンは何度も再撮影が行われ、ジャッキーの強烈な情熱が伝わってきます。

キャストとスタッフ

この作品には、多彩なキャストが揃っており、特に主演のジャッキー・チェンについては武術指導や脚本においても大きな影響を与えています。助演にはウェイ・ペイやユン・ピョウだけでなく、香港映画界の重鎮であるティエン・ファンとシー・キエンも出ており、作品全体の質を高めています。

音楽にも注目が集まり、ジャッキー自身が歌唱したテーマソングは当時のヒットを記録し、今なお多くのファンによって愛されています。以上のように、『ヤング・マスター/師弟出馬』は、ジャッキー・チェンのキャリアにおいて革新的かつ記念碑的な作品であり、香港カンフー映画の発展に寄与したことは間違いありません。

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