ヤンデックス

ヤンデックス（Yandex）とは

ヤンデックス（Yandex）は、ロシアを代表する検索エンジンおよびポータルサイトであり、同名のIT企業によって運営されています。ロシアのインターネット検索市場で大きなシェアを持ち、様々なオンラインサービスを提供していることから「ロシアのGoogle」とも称されます。タクシー配車やフードデリバリーといったサービスも展開しており、ロシア国内では最大手のインターネット企業として知られています。

歴史

ヤンデックスの検索システムは、1997年にプログラマーのアルカディ・ヴォロズとイリヤ・セガロビッチによって設立されました。当初は、パソコン販売・ソフト開発会社「コンプテック・インターナショナル」の一部門としてスタートしましたが、2000年にヤンデックス社として独立しました。その後、グローバルな展開を目指し、シリコンバレーにも子会社を設立。2012年には検索件数で世界第4位にランクインするなど、急速な成長を遂げました。

多様なサービス展開

ヤンデックスは、検索エンジン以外にも、フリーメール、オンラインストレージ、地図検索、翻訳サイトなど、幅広いサービスを提供しています。また、タクシー配車サービスの「Yandex Taxi」や、食品配達サービスの「Yandex Eats」など、生活に密着した分野にも事業を拡大しています。

スマートフォン市場への参入

2018年には、自社ブランドのスマートフォン「Yandex Phone」を発売し、ハードウェア分野にも進出しました。AIアシスタントの「アリス」を搭載するなど、独自の技術も導入しています。

ロシア政府との関係

2019年には、経営上の重要事項に対する拒否権をロシア政府が保有する公益ファンドに付与することを決定。これにより、ヤンデックスは事実上、ロシア政府の管理下に入ることになりました。この動きは、ロシアにおける情報セキュリティに対する懸念の高まりを背景としたものでした。

名称の由来

Yandexという名称は、「Yet Another Indexer（もう一つの索引作成者）」の略称に由来します。

多言語対応

ヤンデックスのサイトは、ロシア語を含む非常に多くの言語に対応しています。アゼルバイジャン語、アルバニア語、英語、日本語など、世界中の様々な言語でサービスを利用できます。

Googleとの訴訟

2014年には、GoogleがAndroid端末メーカーに対して、自社のアプリをプリインストールすることを強要したとして、ヤンデックスが提訴しました。ロシアの反独占局は、Googleの行為が競争法に違反すると認めました。この訴訟は、ヨーロッパ連合（EU）でも注目され、Googleの独占行為に対する重要な先例となりました。

自動車市場への進出

ヤンデックスは、自動車業界にも進出しており、自動運転技術の開発や、車載システムの研究を進めています。また、ロシアのトラックメーカーKAMAZと提携し、AIを活用した運転支援システムを開発しています。

2022年ロシアのウクライナ侵攻による影響

2022年のロシアのウクライナ侵攻は、ヤンデックスに大きな影響を与えました。株価の急落や、欧米諸国からの経済制裁を受け、企業価値が大きく減少しました。経営陣の辞任や、事業再編を余儀なくされる中、ヤンデックスは本社機能をオランダに移し、ロシア政府からの影響を排除しようとしています。しかし、2024年2月には、ロシア国内の事業をロシアの投資家グループに売却することで合意し、ロシア市場からの撤退を決断しました。

Yandex.DNS

ヤンデックスは、Yandex.DNSという無料のパブリックDNSサービスも提供しています。DNSCryptに対応しており、安全なインターネット環境の構築に貢献しています。

その他

ヤンデックスは、ウェブブラウザの「Yandex Browser」、決済サービスの「Yandex Pay」、AIアシスタントの「アリス」など、多様な製品・サービスを開発しています。

まとめ

ヤンデックスは、ロシアを代表するIT企業として、検索エンジンだけでなく、様々なオンラインサービスを提供しています。2022年のウクライナ侵攻による影響を受けましたが、事業再編を経て、現在もグローバルな展開を続けています。

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