ユタ交響楽団

ユタ交響楽団は、アメリカ合衆国ユタ州の州都、ソルトレイクシティに拠点を置く代表的なオーケストラです。1940年、地元の強力なコミュニティ、特にモルモン教会の支援を受けて誕生しました。設立以来、地域文化の振興に貢献し、プロフェッショナルな演奏活動を展開しています。

発展期 - モーリス・アブラヴァネル時代

楽団の歴史において、特に重要な時期は、1947年から1979年までの32年間にわたり音楽監督を務めたモーリス・アブラヴァネルの時代です。アブラヴァネルは楽団の芸術水準を飛躍的に向上させ、その名を国内外に知らしめました。彼の指揮のもと、ユタ交響楽団は多岐にわたるレパートリーに取り組み、特にロマン派以降の作品や近現代音楽の解釈に定評を得ました。

レコーディングと革新

アブラヴァネル時代の功績として特筆されるのは、積極的なレコーディング活動です。エドガー・ヴァレーズ、ダリウス・ミヨー、アルテュール・オネゲルといった20世紀の作曲家の作品の世界初録音を成し遂げ、現代音楽への貢献を示しました。また、グスタフ・マーラーの交響曲全集の録音は、当時のオーケストラとしては異例であり、楽団の技術力とアブラヴァネルの芸術的ヴィジョンを広く知らしめるものとなりました。これらの録音は、現在でも楽団の重要な遺産として高く評価されています。

活動の拡大

アブラヴァネルは楽団の活動範囲も大きく広げました。定期的な演奏会に加え、国内外への演奏旅行を積極的に行い、ユタ交響楽団の存在をアメリカ国内外にアピールしました。こうした活動は、楽団の認知度向上と地域文化の発信に大きく貢献しました。

本拠地アブラヴァネル・ホール

アブラヴァネルの長年の貢献を称え、彼の在任末期にあたる1979年には、ソルトレイクシティの中心部に新しいコンサートホールが完成しました。このホールはアブラヴァネル・ホールと名付けられ、優れた音響を持つユタ交響楽団の主要な本拠地として、以来現在まで使用されています。

その後の歩みと現代

アブラヴァネルの退任後も、ユタ交響楽団は歴代の音楽監督のもとで活動を継続しています。ハンス・ヘンリオットから始まる歴代の音楽監督は以下の通りです。

ハンス・ヘンリオット (1940年 - 1945年)
ウェルナー・ジャンセン (1946年 - 1947年)
モーリス・アブラヴァネル (1947年 - 1979年)
ヴァルジャン・コージアン (1979年 - 1983年)
ジョゼフ・シルヴァースタイン (1983年 - 1998年)
キース・ロックハート (1998年 - 2009年)
* ティエリー・フィッシャー (2009年 - 2023年)

楽団は時代に合わせて組織体制も変化させており、2002年には運営面での効率化を図るため、ユタ・オペラとの法人統合を行いました。これにより、「ユタ・シンフォニー | ユタ・オペラ」として、両組織はより緊密に連携しながら活動を展開しています。また、同じく2002年にソルトレークシティで開催された冬季オリンピックでは、開会式という世界的な大舞台で演奏を担当し、その存在感を示しました。

現在も、ユタ州を代表する文化機関として、年間を通じて質の高いコンサートを提供し、教育プログラムや地域との連携活動にも力を入れています。ソルトレイクシティの音楽文化の中心として、ユタ交響楽団は活動を続けています。

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