ユーロビジョン・ソング・コンテスト1963

ユーロビジョン・ソング・コンテスト1963：革新とスターの誕生

1963年3月23日、第8回ユーロビジョン・ソング・コンテストがイギリス・ロンドンのBBCテレビセンターで開催されました。プレゼンターはケイティ・ボイル、音楽監督はエリック・ロビンソンが務め、16ヶ国が参加しました。この大会は、技術的な試みや、後の音楽界を彩るスターたちの登場など、多くの点で注目を集めました。

イギリス開催の背景

通常、前年の優勝国が次の開催地となるのがユーロビジョンの慣例です。しかし、1962年の優勝国フランスは、1959年と1961年にも開催しており、資金調達の困難さから開催を辞退しました。そこで、当時最新鋭のホールを建設していた[英国放送協会]が、自前の施設での開催に意欲を示し、1960年と同様に代理開催を引き受けることになりました。

会場の工夫

中継会場はTC3とTC4の2つのスタジオに分かれました。TC3は各国の代表が歌を披露するメイン会場、TC4はスコアボードが設置され、プレゼンターが結果を発表する会場として使用されました。また、音響面では、ドラマなどで使用されていたブーム・マイクを導入し、歌手がステージ上を自由に動き回れるようにする試みが行われました。

投票方式の変更と混乱

この大会では、投票方式が再び変更されました。各国審査員の人数が20人に増加し、各人がお気に入りの5曲を選んで1～5票を投票する方式が採用されました。各国で集計された結果は、電話で会場に伝えられ、順位の高い順に5,4,3,2,1点が加点されることになりました。しかし、この変更が原因で、集計手順に混乱が生じる国も現れました。ノルウェーやモナコは、集計結果の発表準備が間に合わず、プレゼンターのケイティ・ボイルが両国を後回しにして再確認するという場面もありました。

優勝と未来のスターたち

優勝は、デンマークのグレーテ&ヨルゲン・イングマンでした。しかし、この大会で注目すべきは、後にフランス語圏のトップ・スターとなるナナ・ムスクーリ、フランソワーズ・アルディ、アラン・バリエール、エスター・オファリムの4人が出場していたことです。彼らは、この大会をきっかけに、国際的な舞台で活躍するようになり、音楽史に名を残すことになりました。

ユーロビジョン・ソング・コンテスト1963は、技術的な革新と、未来のスターたちの才能が輝いた大会として、記憶されています。

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