ユーロビジョン・ソング・コンテスト1982

ユーロビジョン・ソング・コンテスト1982：平和への願いが響いた瞬間

1982年4月24日、イギリスのハロゲイト国際センターで開催された第27回ユーロビジョン・ソング・コンテスト。BBC英国放送協会が制作を担当し、ジャン・リーミングが英語とフランス語でプレゼンターを務めました。放送時間は2時間11分でした。

参加国の減少とそれぞれの理由

この年はフランスとギリシャが不参加となり、参加国は18ヶ国に減少しました。フランスのTF1は、「コンテストに出場する歌手は上手いとも思わないし、本当にいい歌があるとも思えない」という理由で出場を見送りました。この決定はフランスの視聴者から反発を買い、視聴率低迷の一因となりました。翌年からはアンテンヌ2が参加することになります。

ギリシャも、文化担当大臣となった元女優メリナ・メルクーリが「くだらないもの」と判断し、不参加となりましたが、翌年には復帰しています。

投票方法

投票方法は変更なく、各国の審査員が気に入った他国の10曲に投票し、お気に入り順に12,10,8-1点として採点されました。演目終了後、国際電話で繋がれた各局のスポークスマンが出場順に口頭で発表し、プレゼンターが復唱確認後、スコアボードに加算されました。

ドイツ代表ニコルの圧倒的な勝利

ドイツ代表のニコールが歌う「Ein bißchen Frieden（小さな平和）」は、開票の序盤から終盤まで2位以下を大きく引き離し、圧倒的な勝利を収めました。これはドイツにとって初の優勝であり、9ヶ国が12点の満点を出すという新記録は1997年まで破られませんでした。優勝後のアンコールでは、ドイツ語だけでなく、英語、フランス語、オランダ語の4言語で披露されました。

世界的な大ヒット

「小さな平和」は多言語（ドイツ語、英語、オランダ語、デンマーク語、スペイン語、フランス語、イタリア語、ロシア語）でリリースされ、全世界で500万枚を売り上げる大ヒットとなりました。ドイツ本国では5週間、オーストリアで2週間、スイスで8週間1位をキープ。オランダで4週間、ベルギーで3週間、スウェーデンでは11週間首位を独走しました。

イギリスでは、フォークランド紛争の最中であったため、コンテストでの投票は低かったものの、セールスは好調で2週間1位に輝きました。フィンランド、チェコ、ユーゴスラビア、南アフリカなどでも各国語のカバー盤が登場し、大競作となりました。

2005年のユーロビジョン・ソング・コンテスト50周年記念インターネット投票では、14位を獲得しています。

ユーロビジョン・ソング・コンテスト1982は、音楽の力で平和への願いを世界に届けた、記憶に残る大会となりました。

もう一度検索