ヨハネス8世パレオロゴス

ヨハネス8世パレオロゴス（1392年 - 1448年）は、東ローマ帝国パレオロゴス王朝の皇帝で、マヌエル2世の長男として生まれました。彼は、帝国の命運を左右する重要な時期に、その舵取りを担いました。

生涯

ヨハネス8世は、若くしてその強気な性格と軍事的な才能を発揮しました。父マヌエル2世が慎重な外交政策を重視したのに対し、彼はオスマン帝国に対してより強硬な姿勢を採るべきだと主張しました。彼は、オスマン帝国内の混乱に乗じて領土を奪回しようとしましたが、その試みは失敗に終わります。オスマン帝国のスルタン、ムラト2世は、ヨハネス8世が擁立した偽の皇位継承者を打ち破り、コンスタンティノープルを包囲しました。

一時はマヌエル2世の外交手腕により危機を脱しましたが、帝国はテッサロニキなどの重要な領土を失い、オスマン帝国への臣従と多額の貢納金を支払うことを余儀なくされました。父の死後、ヨハネス8世は内政の充実に努め、モレアス専制公領の安定化に成功しましたが、彼の関心は常に東西教会の合同と、それによる対オスマン帝国十字軍の結成にありました。

1438年から1439年にかけて開催されたフェラーラ・フィレンツェ公会議において、ヨハネス8世は自ら代表団を率いて参加しました。この会議で東西教会の合同が合意されましたが、帰国後、その合意は国内で大きな反対に遭い、教会の分裂は解消されませんでした。さらに、西欧諸国からの支援も十分ではなく、十字軍は内部の不和により敗北を喫しました。

ヨハネス8世の政策は、その多くが失敗に終わり、東ローマ帝国は滅亡への道を突き進むことになりました。彼は後継者問題にも頭を悩ませ、三度の結婚にもかかわらず子供を授かることができませんでした。最終的に、四人の弟の中から後継者を選ぶことになり、苦心の末、テオドロスを帝位継承者としますが、テオドロスはヨハネスに先立ち亡くなりました。

1448年10月31日、ヨハネス8世は後継者を決定できないまま崩御し、その死は帝国のさらなる混迷を招きました。彼の後を継いだのは弟のコンスタンティノス11世であり、彼が東ローマ帝国最後の皇帝となりました。

結婚

ヨハネス8世は三度結婚しましたが、いずれも子供を授かることはありませんでした。

1. アンナ・パレオロギナ：モスクワ大公の娘で、1414年に結婚しましたが、1417年にペストにより亡くなりました。
2. ソフィア：モンフェラート侯の娘で、1421年に結婚しましたが、容貌が優れなかったため、離婚しました。
3. マリア・コムネネ・パレオロギナ：トレビゾンド皇帝の娘で、1427年に結婚しましたが、1439年に亡くなりました。

肖像

フィレンツェの壁画『東方三博士の旅』には、フェラーラ・フィレンツェ公会議に訪れたヨハネス8世がモデルとして描かれているとされています。これは、当時のフィレンツェにおける彼の存在感を示す証拠となっています。

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