ヨハンナ・エリーザベト・フォン・シュレースヴィヒ＝ホルシュタイン＝ゴットルプ

ヨハンナ・エリーザベト・フォン・シュレースヴィヒ＝ホルシュタイン＝ゴットルプ（1712年 - 1760年）は、アンハルト＝ツェルプスト侯クリスティアン・アウグストの妃として、またロシア女帝エカチェリーナ2世の母として歴史に名を残しました。

生い立ちと結婚

ヨハンナは、ホルシュタイン＝ゴットルプ家の公子クリスティアン・アウグストと、バーデン＝ドゥルラハ辺境伯の娘アルベルティーナ・フリーデリケの間に生まれました。彼女は幼少期を、親元を離れ、ブラウンシュヴァイク＝ヴォルフェンビュッテル公アウグスト・ヴィルヘルム夫妻の養女として過ごしました。養母はヨハンナのために結婚相手を用意し、1727年、ヨハンナはプロイセン軍に仕えるアンハルト＝ツェルプスト侯子クリスティアン・アウグストと結婚しました。しかし、22歳も年の離れた夫との関係は、愛情というよりは父娘のようなものだったと言われています。

シュテッティンでの生活と野望

結婚後、ヨハンナは夫の赴任地であるポンメルン地方のシュテッティンに移り住みました。退屈な生活の中、彼女はアンハルト＝ツェルプスト家の後継者問題に注目します。当時、家長には子供がなく、夫の兄も未婚であったため、もしヨハンナが男子を産めば、夫が侯位を継承し、自身も重要な地位を得られる可能性がありました。デンマーク王フレデリク3世の曾孫という高貴な血筋を持つヨハンナにとって、それは現状から抜け出すための政略的な意味合いを持っていました。

エカチェリーナ2世の誕生と失脚

ヨハンナは当初、長女ゾフィーを自身の弟と結婚させようと考えていましたが、次兄がスウェーデン王に選ばれると、娘に更なる良縁を望むようになります。そして、ゾフィーはロシアのエリザヴェータ女帝の甥で、後継者であるピョートル（後のピョートル3世）の花嫁に選ばれました。ゾフィーは正教に改宗し、エカチェリーナ・アレクセーエヴナと名を変えました。ヨハンナは娘と共にロシア宮廷入りを果たしますが、その野心的な振る舞いがエリザヴェータ女帝の不興を買い、ロシアから追放されてしまいます。その後、エカチェリーナの結婚後もロシアへの入国は禁じられ、文通も許されませんでした。

その後

1747年に夫が亡くなると、ヨハンナは息子フリードリヒ・アウグストが成人するまでアンハルト＝ツェルプスト侯領の摂政を務めました。その後、パリに移り住み、1760年に生涯を閉じました。

子女

ヨハンナは夫との間に5人の子供をもうけました。

ゾフィー・アウグステ・フリーデリケ（エカチェリーナ2世）：ロシア女帝
ヴィルヘルム・クリスティアン・フリードリヒ
フリードリヒ・アウグスト
アウグステ・クリスティーネ・シャルロッテ
* エリーザベト・ウルリケ

ヨハンナ・エリーザベトは、娘エカチェリーナ2世の成功の陰に隠れがちですが、その生涯は、当時のヨーロッパ宮廷における女性の役割と、権力への野望を色濃く反映しています。

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