ヨハン・ヤーコブ・レーマー

ヨハン・ヤーコブ・レーマー（Johann Jacob Roemer、1763年1月8日 - 1819年1月15日）は、18世紀後半から19世紀初頭にかけて活躍したスイスの博学者です。医師としての活動に加え、植物学、昆虫学の分野で多大な貢献をしました。

生涯と業績

チューリッヒで生まれたレーマーは、ゲッティンゲン大学で医学と生物学を学び、1786年に医学博士号を取得しました。医師として働きながら、1788年にはスイス博物学協会の会員となり、博物学に関する多くの著作を執筆しました。

レーマーの業績として特に重要なのは、オーストリアの植物学者ヨーゼフ・アウグスト・シュルテスと共に、カール・フォン・リンネの「植物の種」の改訂版である"Systema Vegetabilium"（全7巻）を1804年から執筆したことです。これは、当時の植物分類学において重要な業績とされています。

また、昆虫学の分野でも、シェレンベルク（Johann Rudolph Schellenberg）が手彩色図版を製作したGenera insectorumは、図鑑としての評価が高く、レーマーの昆虫学への貢献を示すものとして知られています。

1793年にはスウェーデン王立科学アカデミーの外国人会員に選ばれ、1808年にはバイエルン科学アカデミーの通信会員に選ばれるなど、その学術的な業績は国際的にも高く評価されました。

ケシ科の属名であるRoemeria Medik.は、レーマーの業績を称えて献名されたものです。

主な著作

レーマーは、多くの著作を通じて、その知識と研究成果を広めました。以下に主な著作を挙げます。

Paul UsteriとMagazin für die Botanik Bände 1-4を発刊（1787-1791）、のちにNeues Magazin für die Botanikと改名
Genera insectorum Linnaei et Fabricii iconibus illustrata (1789)
Flora Europaea inchoata, 14巻 (1797-1811).
Encyclopädie für Gärtner und Liebhaber der Gärtnerei (1797)
Collecteana ad Omnem rem Botanicam Spectantia (1806-1810).
Versuch eines möglichst vollständigen Wörterbuchs der botanischen Terminologie (1816).
* Systema vegetabilium (ed. 16), 7巻 (1817-1830)ヨーゼフ・アウグスト・シュルテスと共著.

これらの著作は、当時の植物学、昆虫学の研究において重要な役割を果たし、後世の研究者にも大きな影響を与えました。

ヨハン・ヤーコブ・レーマーは、医師として人々の健康に貢献する傍ら、植物学、昆虫学の分野でも重要な業績を残した、多才な人物でした。彼の研究は、今日の生物学の発展に大きく貢献しています。

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