ヨーガン・レール

ヨーガン レール（Jurgen Lehl、1944年 - 2014年9月23日）は、テキスタイルデザイナー、ファッションデザイナーとして日本で活躍した人物です。ポーランドで生まれ、その後ドイツ人となりました。

来歴

幼少期は祖母と暮らし、10代後半でパリに渡りデザインを学びました。パリやニューヨークでテキスタイルデザイナーとして経験を積んだ後、1971年に来日。当初は数ヶ月の滞在予定でしたが、仕事の依頼を受け、そのまま六本木に居を構えることになりました。翌1972年には自身の名を冠したファッションブランド「ヨーガンレール」を設立しました。

1974年には表参道にショップをオープン。ガラス張りの建物で、オリエンタルな生活雑貨や布製品を中心に展開しました。その後、店舗はラフォーレ原宿に移転。本社も、ゆりかもめの開通に伴い立ち退きを求められたことをきっかけに、ヨーガン自身の希望で緑や水辺のある清澄の倉庫を改造し、1993年に移転しました。

「ヨーガンレール丸の内店」をはじめ、全国に店舗を展開。2006年には、新たに立ち上げたブランド「ババグーリ」の専門店を清澄白河の本社1階にオープンしました。

1999年頃からは石垣島にも拠点を持ち、六本木の自宅と沖縄の別宅を行き来する生活を送りました。六本木ヒルズなどの開発の影響で自宅マンションにも開発の打診がありましたが、高層建築よりも自然を好んだヨーガンはこれを断り、本社近くに新居を建設しました。

2014年9月23日、沖縄県石垣島で交通事故のため逝去。晩年には、日課としていた沖縄の浜辺の清掃で拾ったゴミを利用した照明器具を制作していました。没後の2015年には、東京都現代美術館でこれらの作品を展示する「おとなもこどもも考える ここはだれの場所？」展が開催されました。

ブランド

ヨーガンレール

天然素材の持ち味を活かした服づくりを特徴としています。自然から得たインスピレーションを大切にし、手仕事にこだわったものづくりを追求しました。機械による均一な布作りを避け、「首尾一貫した手仕事」を重視し、日本やアジア諸国で布作りを行いました。店舗デザインや家具まで自身で手掛けるなど、その世界観をトータルに表現していました。

ババグーリ

「ヨーガンレール」から派生したブランドで、より複雑な手仕事へのこだわりを形にしました。手紡ぎ、手織り、草木染めのコットンを用いた手ぬぐいなど、カジュアルなスタイルでありながら、手仕事の跡が際立つ製品を展開。無垢のチーク材の家具や、デザイナー自身が沖縄の畑で栽培したお茶、天然素材の生活雑貨なども取り扱っています。また、「竹は地球を救う」というコンセプトのもと、孟宗竹を用いた家具を発表するなど、自然への強い思いを体現しています。「ババグーリ」という名前は、インドのグジャラート地方で採れる瑪瑙の呼び名に由来しています。

関連

「酸化した鶏肉」を食べたことがトラウマで、肉類全般を避けるようになり、ベジタリアンとなりました。この影響で、ヨーガン・レール社の社員食堂では肉類は一切提供されていません。

漆師の赤木明登をはじめ、様々なジャンルの作家と交流があり、1998年には赤木に漆器の制作を依頼するなど、親交を深めました。また、ヒカシューがファッションショーの音楽を担当したこともあり、その音楽をベースとしたアルバム『私の愉しみ』がリリースされています。

出版物

『メイド・イン・ジャパン—ヨーガン・レールのテキスタイル』 Parco出版、1983年
『ゾモ』 ヨーガンレール、2002年
『ころも ヨーガンレールの布』 高木由利子共著、2002年
『ダチ』 高木由利子共著、2005年
『Babaghuri』ヨーガンレール、2005年

これらの写真集の他、シーズンによって服飾カタログも販売されました。

『ヨーガンレールの社員食堂』 高橋みどり著、2007年

外部リンク

* ヨーガンレール

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