ヨーク (オンタリオ州)

ヨーク：多様な文化が息づく、かつてのトロントの一地区

ヨークは、かつてカナダのオンタリオ州南部に位置し、現在のトロント市の一部となっている地区です。1998年にトロント市に合併されるまでは、独立した都市として機能していました。2001年の統計によると、当時の人口は約15万人であり、合併した6つの都市の中では2番目に小さい規模でしたが、民族構成は最も多様性に富んでいました。

多様な民族構成

ヨークの民族構成は非常に多様で、様々なルーツを持つ人々が生活していました。

ヨーロッパ系: 57.1%（主にポルトガル系、イタリア系、イギリス系）
アフリカ系: 20.4%（主にジャマイカ系、アフリカ系、その他のカリブ系）
アジア系: 4.6%（主にベトナム系、南アジア系）
フィリピン系: 3.7%
* その他: 16.2%（多くはラテンアメリカ系）

宗教も多様であり、カトリック教会や英国国教会を始め、ユダヤ教、ラスタファリ運動、第7安息日再臨派、ペンテコステ派、福音派など、様々な信仰を持つ人々が共存していました。

歴史

ヨークは1850年に町制を施行しました（「Township of York」。トロントの前身である「Town of York」とは異なります）。設立当初の境界は、西がハンバー川、東がビクトリアパーク通り、北がスティール通りでした。周辺の都市としては、西にエトビコ、東にスカボロ、北にボーンやマークハムと隣接していました。

1853年から1926年の間に、ヨークから分離してノースヨークやイーストヨークなどの町が誕生しました。1910年代には町の開発が進み、1920年代には都市化された南部と田園地帯が広がる北部との間で特徴が大きく異なってきたため、北部がノースヨークとして分離することになりました。

1953年4月15日にはメトロポリタン・トロントの一都市となり、1983年6月10日に市制を施行しました。しかし、1998年1月1日にトロントを含む6つの周辺都市が合併して新制トロントが誕生したことで、ヨーク市は解体されました。

また、著名な作家であるアーネスト・ヘミングウェイがかつてこの地に住んでいたという歴史も持っています。

交通

旧ヨーク市内には地下鉄は通っていませんでしたが、境界を出たところにエグリントンウエスト駅、セントクレアウエスト駅、オールドミル駅、ジェーン駅などがありました。鉄道駅としては、GOトランジットのウエストン駅があり、この駅名は地域の名前が由来となっています。

ヨークは、合併によってその名こそ失われましたが、トロントの多様な文化を形成する上で重要な役割を果たした地域です。その歴史と多様性は、現在もトロントの魅力の一部として息づいています。

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