ヨーロッパアマツバメ

ヨーロッパアマツバメ（Apus apus）

ヨーロッパアマツバメは、アマツバメ目アマツバメ科に属する鳥類の一種です。ツバメやニシイワツバメと外見が似ていますが、スズメ目のツバメとは異なり、アマツバメ目に分類されます。これは、生態が似ているために収斂進化が起きたと考えられています。

特徴

学名の「Apus」は、ギリシア語で「足がない」という意味の「απους」に由来します。これは、ヨーロッパアマツバメの足が非常に短く、垂直な壁に立つ時にしか使わないことに由来します。そのため、地面に降りることはほとんどありません。

体長は16〜17cmで、全体的に黒っぽい茶色をしています。喉には白いか薄い灰色の部分があります。短い尾と、三日月やブーメランのような形をした長い翼が特徴的です。

鳴き声は大きく、叫ぶような音です。メスは高い音、オスは低い音を出します。

分布と生態

ヨーロッパアマツバメは渡り鳥であり、夏はイギリスや北ヨーロッパで過ごし、冬は南アフリカで越冬します。

森林に生息することもありますが、都市環境への適応能力が高く、ビルの隙間や窓の下、煙突など、様々な場所に巣を作ります。毎年同じ場所に戻り、必要に応じて巣を修復します。

気候が悪く、餌となる昆虫が不足すると、ヒナは自らの体温を下げて冬眠状態になることができます。これは、厳しい環境を生き抜くための適応戦略です。

夏の夕暮れ時には、10〜15羽が集まって輪を描きながら飛び、互いに鳴き交わす「スクリーミング・パーティー」と呼ばれる行動が見られます。

紋章学

ヨーロッパアマツバメは、「Martlet」として紋章に登場することがあります。Martletは足のない鳥として描かれ、常に移動し定住しないことを象徴するものとして、主に次男の紋章に用いられました。

亜種

氷河期に中央ヨーロッパに生息していた亜種として、A. a. palapus が知られています。

ヨーロッパアマツバメは、その独特な生態と都市への適応能力により、私たちに身近な存在でありながら、興味深い生態を持つ鳥です。

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