ヨーロピアンパーチ

ヨーロピアンパーチ：ヨーロッパの湖沼を彩る魚

ヨーロピアンパーチ( Perca fluviatilis) は、スズキ目ペルカ科に属する淡水魚です。ヨーロッパとシベリアに広く分布し、バルト海の沿岸部など、塩分濃度の低い汽水域にも生息しています。英名では「Redfin perch」や「English perch」など、地域によって様々な呼び名を持ち、ロシアでは「Окунь(オークニ)」と呼ばれています。

広範囲な分布と形態

その分布域は北はスカンジナビア半島から東はコリマ[[川]]まで、アドリア海、アラル海、エーゲ海、北極海流入河川を含む広大な地域に及びます。イベリア半島を除くヨーロッパ全域とシベリアに広く分布していますが、アルバニアやモンテネグロのスカダール湖、オーストラリア、イタリア南部、スペインのエブロデルタ、南アフリカ共和国、ロシアのアームール川などにも移入されています。

最大で60cmに達する個体も存在しますが、一般的には25cm程度の個体が多く見られます。体色は緑がかった黄色で、体側には5～9本の黒い横帯が特徴です。脊椎骨数は39～42個。生息域によって体の大きさが異なり、オーストラリアに移入された個体群は、ヨーロッパ産の個体よりも大型化する傾向があります。寿命は22年で、イギリスでは最大3kg程度と、ヨーロッパ本土よりも小型化する傾向が見られます。背びれは2つに分かれており、第1背びれは灰色で黒い斑点、第2背びれは灰黄色です。胸びれは黄色く、それ以外のびれは赤色をしています。

分類とイエローパーチとの関係

ヨーロピアンパーチは、1730年にスウェーデンの博物学者Peter Artediによって初めて学術的に記載されました。彼はスウェーデンの湖で採取した個体を調査し、形態学的特徴を詳細に記述しました。その後、1758年にカール・フォン・リンネが、Artediの記述に基づいて学名 Perca fluviatilis を与えました。

近縁種であるイエローパーチ(Perca flavescens) とは形態が酷似しており、交雑することもあります。そのため、イエローパーチをヨーロピアンパーチの亜種とする分類体系もあり、その場合は学名を Perca fluviatilis flavescens と表記します。しかし、自然分布域では生息域が異なるため自然交雑は起こらず、人為的に導入された地域でのみ交雑の可能性があります。交雑個体の生育可能性は不明な点も多いですが、多くの分類体系では独立種として扱われています。最近の分子生物学的研究も、この見解を支持しています。

生態と人間との関わり

河川、湖沼、河口など、様々な水域に生息する底生魚です。水深30mまでの浅場を好み、流れの緩やかな場所や水草の繁茂する場所を好んで生息しています。4月末から5月初旬が繁殖期で、水草や水面下の木の根に産卵します。稚魚は、ノーザンパイク、パイクパーチ、ブラックバスなどの肉食魚や雑食魚に多く捕食されます。水鳥の足に付着して、別の水域に拡散することもあります。オスは1～2歳、メスは2～4歳で性成熟します。

日本では特定外来生物に指定されており、飼育には注意が必要です。食用魚としても人気があり、骨が少なく、淡白で甘みのある白身は、様々な料理に利用されます。塩焼き、唐揚げ、天ぷら、南蛮漬けなど、様々な調理法が楽しめます。レマン湖では、フィレ・ドゥ・ペルシュという名物料理として有名です。

釣りと飼育

釣りにおいては、サシを使った餌釣りや、擬似餌を使ったルアーフィッシングが一般的です。大型個体狙いには、メダカ、ドジョウ、金魚などの小魚やカエル、エビなどを餌として用いることもあります。群れで生息する小型個体から、単独で行動する大型個体まで、その生態は多様で、釣り人にとって魅力的なターゲットとなっています。ただし、大型個体は警戒心が強く、釣るには高度な技術が求められます。

飼育には大型のアクアリウムと、適切な餌が必要です。水草などを植えて隠れ家を用意し、ミミズ、ユスリカ、イワシなどを餌として与えます。養殖においては、稚魚にワムシ、アルテミア、ミジンコなどを与えます。

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