ライオネル・ローグ

ライオネル・ローグの生涯と業績

ライオネル・ローグ（Lionel Logue, 1880年2月26日 - 1953年4月12日）は、オーストラリア出身の言語聴覚士であり、後にイギリスで活動しました。彼は特に、イギリス王ジョージ6世の吃音治療を行ったことで広く知られています。ローグは、言語療法の先駆者として、多くの人々に影響を与えました。

生い立ちと初期の頃

ライオネル・ローグは南オーストラリア州アデレードで4人兄弟の長男として生まれました。彼の祖父はダブリン出身の醸造業者であり、家族のルーツはアイリスにあります。ロングフェローの詩との出会いは、彼にとって言葉のリズムや音声に興味を抱くきっかけとなりました。この興味が後の彼のキャリアに大きな影響を与えました。

プリンス・アルフレッド・カレッジでの教育後、アデレード大学で音楽を学び、演劇活動にも関わりました。彼はこれらの経験を通じて、表現力豊かなコミュニケーションの重要性を理解することとなります。

言語障害治療への転身

第一次世界大戦後、戦争から帰還した兵士たちが抱える神経症を目の当たりにしたローグは、その経験を活かし、言語障害に苦しむ患者の治療を始めます。彼は雄弁術を踏まえた手法で、患者に対するアプローチを模索しました。1924年、彼は家族と共にイギリスに移住し、サウスケンジントンで言語セラピーを開業しました。

ジョージ6世との関わり

1925年、大英帝国博覧会において、当時のヨーク公アルバート（後のジョージ6世）が吃音のために苦労しているスピーチをラジオで聞いたローグは、彼の治療を依頼されました。治療が始まった当初、言語療法はあまり正当化されておらず、民間療法として偏見も多かったのですが、ローグはその技術を磨き続けました。

彼の治療は次第に実を結び、1937年にはジョージ6世の戴冠式で夫妻と共に貴賓席に招待されました。このように、二人の関係は非常に親密なものとなり、ジョージ6世は1939年に行われた対独宣戦布告のラジオ演説を吃らずに成功させました。ローグの治療によって、ジョージ6世の吃音は改善される一方、彼の収入は次第に減少しましたが、その友好関係は続きました。

晩年と死去

ライオネル・ローグは、ジョージ6世が崩御した約1年後の1953年4月12日にロンドンで他界しました。彼の葬儀には、女王エリザベス2世やエリザベス皇太后など、多くの王室関係者が参列し、彼の業績が大いに称賛されました。

映画『英国王のスピーチ』

ライオネル・ローグの生涯を描いた映画『英国王のスピーチ』では、彼の役をジェフリー・ラッシュが演じ、その演技が高く評価されました。この作品を通じて、多くの人々に彼の存在と影響が伝えられています。

ローグの治療法は、言語聴覚士としての新たなスタンダードを確立し、現在でも彼の業績は多くの人々に影響を与えています。彼の生涯は、言語障害に対する理解と治療の発展に寄与した重要なものでした。

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