ライオン (巡洋戦艦)

イギリス巡洋戦艦「ライオン」

ライオン（HMS Lion）は、イギリス海軍が建造したライオン級巡洋戦艦のネームシップであり、その卓越した戦闘能力と数々の激戦への参加により、第一次世界大戦におけるイギリス海軍の象徴的な存在となりました。

艦歴

1909年11月25日に起工されたライオンは、1910年8月6日に進水し、1912年6月4日に正式に就役しました。その後の数年間で、ライオンはイギリス海軍の主力艦隊の一翼を担うことになります。

第一次世界大戦での活躍

第一次世界大戦勃発後、ライオンは数々の重要な海戦に参加しました。

ヘルゴラント・バイト海戦（1914年8月28日）: この海戦で、ライオンは初めて実戦を経験し、その戦闘能力を証明しました。この戦いは、大戦初期の北海におけるイギリス海軍とドイツ海軍の衝突の一つでした。
ドッガー・バンク海戦（1915年1月24日）: ライオンは、デヴィッド・ビーティー提督の旗艦としてこの海戦に参加しました。この海戦では、ドイツの巡洋戦艦ザイドリッツに命中弾を与える戦果を上げましたが、自身も巡洋戦艦デアフリンガーからの攻撃を受け、損傷により一時的に戦列を離脱しました。この海戦は、巡洋戦艦同士の激しい砲撃戦が繰り広げられたことで知られています。
ユトランド沖海戦（1916年5月31日）: この海戦は、第一次世界大戦における最大規模の海戦であり、ライオンもこの戦いに参加しました。激戦の中、ライオンのQ砲塔にはドイツ巡洋戦艦リュッツオウの12インチ砲弾が命中しました。この時、砲塔の指揮官であったフランシス・ハーヴェイは、即座に弾薬庫の扉を閉めることと弾薬庫への注水を命じました。この迅速かつ的確な判断により、誘爆という最悪の事態を回避することができ、乗組員の命を守っただけでなく、ライオンも戦闘能力を維持したまま戦い続けることができました。ハーヴェイの英雄的な行動は、後世に語り継がれることとなりました。

戦後

修理を終えたライオンは、1917年の第二次ヘルゴラント・バイト海戦に参加しましたが、その後は北海に係留されたまま終戦を迎えました。戦後、記念艦として保存を求める声も上がりましたが、ワシントン海軍軍縮条約の規定により1924年に売却され、解体されました。

ライオンは、その短い生涯の中で数々の激戦を経験し、イギリス海軍の歴史にその名を刻みました。特に、ユトランド沖海戦におけるフランシス・ハーヴェイの英雄的な行動は、海軍史における重要なエピソードとして広く知られています。

外部リンク

Account of the battle of Jutland by Alexander Grant, a gunner aboard Lion.
* Maritimequest HMS Lion Photo Gallery

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