ライカのレンジファインダーカメラ製品一覧

ライカレンジファインダーカメラ：歴史と進化

この記事では、ライカとその前身であるエルンスト・ライツ社が製造・販売してきたレンジファインダーカメラについて、その歴史と進化を詳細に解説します。初期の試作機から最新のデジタルモデルまで、各機種の特徴や背景、そしてコレクター垂涎のレアモデルについても掘り下げていきます。

バルナック型カメラ：ライカの原点

ライカのレンジファインダーカメラの多くは、エルンスト・ライツ社に在籍したオスカー・バルナックによって考案されたバルナック型ボディを採用しています。特徴的なのは、底板を取り外してフィルムを装填する構造で、初期にはパトローネ入りのフィルムが普及しておらず、暗室でのフィルム装填が一般的でした。135フィルムを使用し、24×36mmのライカ判フォーマットで撮影します。

ライカの黎明期：ウル・ライカとライカ0

1914年に製作された試作機ウル・ライカ（Ur Leica）は、35mm映画用フィルムを2コマずつ使用して撮影するカメラでした。セルフコッキング方式で、巻き上げと同時にシャッターがセットされますが、巻き上げ中は感光を防ぐための機構がないため、レンズキャップを装着する必要がありました。

市販はされませんでしたが、市場調査を目的として1923年に製造されたライカ0（Null Leica）は、30台のみが製作されました。金属製のボディに革が張られ、ファインダーは当初折畳式でしたが後にガリレオ式に変更されました。シャッターはスリット幅可変式で、マガジンを採用することで日中のフィルム交換が可能になりました。2001年には、このライカ0の復刻版が発売されました。

ライカI系：レンズ交換への序章

1925年に発売されたライカI（A）は、沈胴式レンズを固定装備したモデルでした。ピント合わせは、コード距離計を使用します。その後、レンズとしてライツ・アナスチグマート、エルマックス、そして製造が容易なエルマーが採用されました。1927年にはイギリスの代理店からの注文で、接写が可能なモデルも製造されています。

1929年には、ライカの成功を記念したゴールデンライカ、1930年には高級仕様のデラックスライカ、高性能なヘクトールレンズを搭載したモデルが発売されました。

ライカI（B）は、コンパーレンズシャッターを搭載したモデルですが、操作性の悪さから生産は中止されました。

レンズ交換が可能なライカI（C）は、ライカマウントの原型となるネジマウントを採用し、35mm、50mm、90mm、135mmなどの交換レンズが用意されました。フランジバックが統一されたのは1931年からのライカI（C）Oマーク付きモデルからです。

ライカII系、III系：距離計連動と機能進化

1932年に発売されたライカIIは、レンズのピントリングと距離計が連動する連動距離計を搭載し、バルナックライカの標準的なスタイルとなりました。距離計は等倍で、パララックス誤差を小さく抑える設計がなされていました。ライカIIの距離計連動機構は特許取得されており、他社には容易に模倣できませんでした。

距離計を省略したライカスタンダードも同時に発売されました。

ライカIIIは、ライカIIにスローシャッター、視度調整装置、ストラップ金具を追加し、距離計の倍率も向上させたモデルです。1935年に発売されたライカIIIaは最高シャッタースピードが1/1000秒に高速化され、シャッターブレーキも搭載されました。

さらに、ライカIIIbでは距離計窓とファインダー窓が隣り合わせになり、視認性が向上しました。ボディーはアルミダイキャスト製になったライカIIIcは、軽量化されながらも堅牢性も向上しています。

この時代には、報道用として250枚撮影可能な長尺フィルムマガジンを使用するライカ250シリーズも製造されました。

第二次世界大戦中の軍用ライカは、ボディに軍の刻印が施されているものや、レンズに刻印のあるものなどがあり、大変希少価値があります。

戦後、フランスのライカ代理店の要請によりフランスのザール地方で組み立てられたライカIIIaモンテザールも存在します。

ライカIIIf系、M型への移行

1950年に発売されたライカIIIfは、フラッシュシンクロを備えたモデルです。シンクロ接点の選択が複雑な仕様でしたが、ボールベアリングを用いたシャッター機構により、シャッター動作の安定性が向上しました。

スローシャッターを省略したライカIIf、距離計とファインダーを省略したライカIfも発売されました。

ライカIIIfは、1957年に発売されたライカIIIgへと進化します。ライカIIIgは、ライカMシリーズの先駆けとなるパララックス補正ブライトフレームファインダーを備えていました。

M型カメラ：ライカの新たな時代

1954年に登場したライカM3は、バヨネット式Mマウントを採用し、迅速なレンズ交換を可能にしました。自動パララックス補正ブライトフレームファインダー、レチナ式レバー巻き上げ、クリックストップ付きシャッター速度ダイヤルなどを備え、操作性の向上も図られています。M3は、後継機であるM2、M4、M5、M6へと進化していきます。

M3の廉価版として発売されたライカM2は、ファインダー倍率が0.72倍に低下しましたが、焦点深度指標が追加されるなど、使い勝手も改善されています。

ライカM4は、巻き戻しクランクやDIN式シンクロターミナルを採用するなど、操作性の向上に重点が置かれています。

TTL露出計を搭載したライカM5は、デザイン面で賛否両論がありましたが、後のMシリーズに繋がります。

ライカM6は、M4のデザインを踏襲しつつ、TTL露出計を搭載したモデルです。また、様々なバリエーションモデルも存在します。

ライカM7では絞り優先AEが搭載され、電子制御式シャッターになりました。

デジタルライカM：伝統と革新の融合

2006年に発売されたライカM8は、ライカMシリーズ初のデジタルカメラです。その後、M9、Mモノクローム、M Typ 240など、多くのデジタルMシリーズが発売されています。最新のモデルは、ライカM11で、高画素CMOSセンサーや進化した機能を搭載しています。

アクセサリー：撮影をサポートするアイテム

ライカには、多数のアクセサリーが用意されています。代表的なものとして、複数のレンズを装着できるライカトリレンズターレット、迅速なフィルム巻き上げを行うライカビットMPなどがあります。また、様々なタイプのフィルムマガジンも存在しました。

結論

この記事では、ライカのレンジファインダーカメラの歴史を、その進化と特徴、そして数々のバリエーションモデルと共に紹介しました。ライカは、常に写真技術の進歩を追求しながら、その伝統とクラフトマンシップを守り続けてきました。これからも、多くの写真愛好家を魅了し続けることでしょう。

もう一度検索