ライシーアム (リヴァプール)

ライシーアム（The Lyceum）

ライシーアムは、イングランドのリヴァプール、ボールド・ストリートに位置する新古典主義様式の美しい建物です。グレードII*に指定されているこの建物は、リヴァプールの歴史的なシンボルとされています。元々、1802年に設立され、新聞縦覧所と私立図書館として運営されていましたが、その後、ジェントルメンズ・クラブの拠点としても利用されるようになりました。1952年にクラブが移転すると、建物はしばらくの間空き家となり、その後の運命は波乱に富んでいました。

歴史的背景

ライシーアムの歴史は1757年に始まります。当時、ウィリアム・エヴァラードという教育者が小規模な文学クラブを発足させ、評論や書籍を回覧していました。1758年に設立されたリヴァプール図書館は、彼の自宅からスタートし、蔵書が増えるにつれて散発的に所在地を移しました。1800年には新たに建物を建設する計画が持ち上がり、トマス・ハリソンが設計を担当しました。

新図書館の建設は、890人の会員によって寄付金を募り、1802年に開館。新聞縦覧所では、さまざまな新聞や雑誌が提供され、会員は快適に過ごすための空間を得ました。図書館には約1万冊以上の蔵書と、講演や会議を行うための部屋がありました。1879年には、新聞縦覧所が図書館に退去を求める事態が発生しますが、法廷で争われることとなり、最終的に図書館が存続することが決定されました。

1942年には図書館が閉館し、この建物は長い間様々な用途に変わることになります。1952年にはグレードIIに指定され、その後は多くの開発計画が持ち上がりました。しかし、1970年代には解体が検討される中、市民の運動によって保全される運びとなります。

近年の変遷

1984年には中央郵便局として再利用されることになりましたが、その後は経営資源不足でさまざまな店舗が出入りする中、2004年には郵便局が閉局。最終的に残ったのは協同組合銀行の店舗だけとなりました。2017年にこの銀行が撤退した後、ライシーアムは完全に空き家となりました。

建築様式と特徴

ライシーアムの外装は、新古典主義様式で設計されており、石材を用いた美しい仕上げが特徴です。正面にはイオニア式の円柱を用いたポルチコがあり、階段を上がって入り口へと進む構造になしています。チャーチ・ストリート側の壁は、魅力的なレリーフで飾られており、古典的な神話のキャラクターが描かれています。これらのデザインは、当時の建築手法と文化感覚を反映しており、訪れる人々の心を掴んでいます。

インテリアの内装も独特で、かつての新聞縦覧所は優雅なアーチ状のデザインで統一されており、グリザイユ技法を用いたフリーズ飾りが施されています。また、図書館には美しいドームがあり、数多くの著名な文学者の胸像が飾られていました。

ライシーアムはリヴァプールの文化的なアイコンであり、歴史的な価値を併せ持つ建物です。廃墟と化した時期もありましたが、その運命がどうなるか、今後も注目が集まることでしょう。

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