ライジング・フォース (イングヴェイ・マルムスティーンのアルバム)

『ライジング・フォース』（Rising Force）は、1984年に発表されたイングヴェイ・マルムスティーンの記念すべきソロデビューアルバムです。アルカトラスでの活動を通じて、卓越したギタープレイと作曲能力を世に示したマルムスティーンが、日本のレコード会社からの強い後押しを受け、インストゥルメンタルを主体とした本作で、更なる音楽的な才能を開花させました。

このアルバムは、ヴァイオリンを彷彿とさせる流麗なレガート奏法や、クラシック音楽とヘヴィメタルを融合させた楽曲構成が特徴です。これらの革新的な試みは、ロック・シーン、特にギター音楽の分野に計り知れない影響を与え、新たなジャンル「ネオクラシカルメタル」を確立し、数多くのフォロワーを生み出す原動力となりました。

『ライジング・フォース』は、グラミー賞のベスト・ロック・インストゥルメンタル・パフォーマンス部門にノミネートされるという栄誉に輝きましたが、惜しくも受賞は逃しました。しかし、音楽雑誌の読者投票では、最優秀新人賞や最優秀アルバム賞など、数々の賞を受賞し、その音楽的価値は高く評価されました。2013年には、米国のギター専門誌「Guitar World」が発表した「Top 10 Classic Shred Albums」において、見事1位に選ばれています。

アルバムに収録されている「ファー・ビヨンド・ザ・サン」は、特に人気が高い楽曲の一つです。日本のゲーム会社であるファルコムのゲーム「イースIV」の劇中曲「偉大なる試練」に、ほぼそのままのアレンジで使用されたことでも知られています。

『ライジング・フォース』以降、マルムスティーンはボーカルをフィーチャーした作品を多く発表するようになります。そのため、次なるインストゥルメンタル・アルバムの発表は、エレクトリック・ギターとオーケストラのための協奏組曲 変ホ短調『新世紀』 (Concerto Suite for Electric Guitar and Orchestra) (1998年) まで、14年もの歳月を待つことになります。

アルバムタイトルである『ライジング・フォース』は、マルムスティーンがアマチュア時代に結成していたバンド名に由来します。彼はその後も、この名前を自身の活動に使用することがあり、次作品以降は「ライジング・フォース」名義で活動を行うこともありました。

参加ミュージシャン
イングヴェイ・マルムスティーン - エレクトリック・ギター、アコースティック・ギター、ベース・ギター、タウラス・ベースペダル
イェンス・ヨハンソン - キーボード
ジェフ・スコット・ソート - ボーカル
バリモア・バーロウ - ドラム

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