ライトシュミット式望遠鏡

ライトシュミット式望遠鏡：シュミット式望遠鏡の進化形

ライトシュミット式望遠鏡は、反射屈折望遠鏡の一種であり、シュミット式望遠鏡の改良型として誕生しました。シュミット式望遠鏡は、明るく広い視野を確保できる優れた光学系として知られていますが、補正板の製作が難しい、像面湾曲がある、全長が長いなどの欠点がありました。ライトシュミット式望遠鏡は、これらの問題点を解決すべく開発されたものです。

F.B.ライトとユルィヨ・バイサラは独立に研究を進め、補正板を主鏡に近づけ、焦点が補正板の中心と一致するように設計することで、球面収差とコマ収差を補正できることを発見しました。さらに、主鏡を楕円形の回転面（偏球面）にすることで、像の歪みを抑えることに成功しました。

初期の試作では高次収差による像のボケが課題となりましたが、F値をF3程度にすることで実用的な性能を実現できることが判明しました。また、ニュートン式望遠鏡と同様に、斜鏡を用いて焦点面を鏡筒外部に取り出すことで、観測や撮影が容易になりました。そのため、市販されているライトシュミット式望遠鏡は、この形式を採用しているものがほとんどです。

ライトシュミット式望遠鏡の性能は、ニュートン式望遠鏡とシュミット式望遠鏡の中間的な位置付けにあります。主鏡を球面とした場合、明るさはF4程度、視野は4度程度が実用的な限界となります。像はやや甘く、コントラストもやや低いものの、調整が適切であれば扱いやすく、手軽に天体写真を撮影できます。ニュートン式望遠鏡と比較すると、視野が広く、周辺像の劣化も少ない点が利点です。ロールフィルムを使用することも可能です。

しかし、ライトシュミット式望遠鏡にも欠点があります。写野周辺では非点収差が大きいため、フィルム面が傾いていると星像が伸びてしまいます。そのため、光軸とフィルム面を正確に直角に合わせる「スケアリング」作業が非常に重要になります。また、眼視観測にも使用できますが、分解能は口径の割に低く、25cmのライトシュミット式望遠鏡でも、10cm程度の通常の望遠鏡と同等の分解能しかありません。

総合的に見ると、ライトシュミット式望遠鏡は、手軽に、かつ継続的に天体写真を撮影したいアマチュア天文家にとって魅力的な選択肢です。明るさと広い視野、そして比較的容易な製作といったメリットを備えつつ、欠点も理解した上で使用することが大切です。ニュートン式望遠鏡やシュミット式望遠鏡と比較検討し、自身の観測目的に最適な望遠鏡を選択することが重要です。

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