ライト・ベランカ WB-2

ライト・ベランカ WB-2の詳細

ライト・ベランカ WB-2（Wright-Bellanca WB-2）は、著名な航空機設計者ジュセッペ・ベランカが手がけた、単発の単葉機です。この機体は、特に長距離飛行を目的とした設計が特徴で、歴史的にも数々の挑戦に挑んできました。WB-2はミスコロンビア号、後にメープルリーフ号という名でも知られ、多くの飛行記録を打ち立てた機体です。

背景と開発

1925年、アメリカの航空の先駆者であるクラレンス・チェンバレンが、ベランカと親しくなり、彼をライト航空会社の技術顧問として迎え入れました。この時、ベランカはホワールウィンド エンジンのデモ機製作に取り掛かります。初めのモデルWB-1は全木製でしたが、1926年の長時間無給油飛行挑戦中に失われ、この経験を生かす形で金属製のWB-2が開発されました。

WB-2は特に長距離海上飛行に対応するために設計されており、不時着水時には主脚が切り離せる構造を持っています。また、燃料タンクが浮力を提供し、エンジンも必要に応じて切り離すことができるため、非常にユニークな飛行性能を持っていました。

史上初の長距離飛行

1926年、WB-2はコロンビア号と名付けられ、ナショナル・エア・レースに参加し、2度の最高効率賞を受賞しました。その後、ライト航空会社がエンジンの開発に注力することを決定し、機体の開発は中止されました。しかし、ベランカは新たな出資者チャールズ・レバインと共にコロンビア飛行機を設立し、WB-2の製作権を得ることになります。

1927年には、バート・アコスタがパイロットとなり、WB-2で51時間11分の滞空を実現し、4,100マイルを飛行するという飛行記録を打ち立てました。この成績は、ニューヨークからパリ間の横断に必要な距離を超えるものであり、WB-2の能力を示しました。

リンドバーグとの関係

当時、チャールズ・リンドバーグはもちろんのこと、この機体に特に注目していました。彼はオルティーグ賞に挑戦するため、WB-2の購入交渉を行いましたが、搭乗員の選定を巡って交渉が決裂。しかしリンドバーグはその後単独でニューヨークからパリへの飛行に成功し、オルティーグ賞を獲得しました。

コロンビア号からメイプルリーフ号へ

1927年6月4日、コロンビア号はベルリンへの無着陸飛行を成功させ、リンドバーグを上回る距離と飛行時間で記録更新を果たしました。この試みにおいて、レバインは大西洋を横断した最初の乗客となりました。

その後、1927年12月30日、ベランカはコロンビア飛行機を離れ、アヴィアベランカを設立します。コロンビア号は1930年にメープルリーフ号と改名され、数々の飛行を続けましたが、1934年1月25日に火災で失われます。現在、コロンビア号を模した機体が博物館に展示されています。

機体のスペック

WB-2は以下のような仕様を持っています：

• - 乗員数：6名
• - 全長：8.15m
• - 翼幅：14.12m
• - 空虚重量：839kg
• - 最大離陸重量：2,449kg
• - エンジン：ライトワールウィンドJ-5

その性能は、最大速度203 km/h、巡航速度169 km/h、実用上昇限度は4,000mです。これらのスペックは、WB-2の冒険に於ける重要な要素となりました。

このようにWB-2は、航空史において特筆される存在であり、多くのパイロットや航空愛好家に影響を与え続けています。

もう一度検索