ライバッハ (バンド)

ライバッハ（Laibach）

ライバッハは1980年に当時のユーゴスラビア、現在のスロベニアのトルボヴリェという街で結成された実験音楽のバンドです。バンド名はスロベニアの首都リュブリャナのドイツ語名に由来しており、音楽スタイルにおいてはインダストリアル・ミュージックを主に扱っています。

結成とメンバー

バンドは創設者のトマシュ・ホストニクとデヤン・クネツを中心に結成され、他にもEber、Saliger、Dachauer、Kellerといったメンバーが在籍しました。1982年、創設メンバーのホストニクが自ら命を絶った後はミラン・フラスがボーカルを担当することになりました。メンバーは匿名性を重んじ、特に2014年のアルバム『Spectre』では初めてメンバーの名前が公表されています。

音楽スタイル

ライバッハの初期の音楽作品は、インダストリアル・ミュージックに強く影響され、前衛的な要素が色濃くみられます。特に『オーパス・ディ』では、ハンマー・ビートを取り入れるなどの新しい試みがなされました。その後、1990年代にはエレクトロニック・ミュージックを取り入れ、特に300,000V.K.とのコラボレーションによって新たなサウンドが生まれました。アルバム『WAT』では、テクノDJのユーメックがプロデュースを手掛けるなど、多様な音楽的アプローチが特徴です。

芸術運動としてのライバッハ

ライバッハはその音楽スタイルだけでなく、新スロベニア芸術という芸術運動においても重要な存在とされています。彼らは制服や全体主義的なモチーフを多用し、これによりナチス・ドイツを連想させることから物議をかもしました。このグループ名も、第二次世界大戦後はタブーとされてきましたが、彼らはこれらの表現がファシズムへのパロディであると主張しています。とはいえ、その意図が誤解され、右翼・左翼双方から非難を浴び、ユーゴスラビア時代には政府から監視される一因ともなりました。

日本での活動

日本においては、1986年にバップから『ノヴァ・アクロポラ』、1987年にはアルファレコードから『オーパス・ディ』がLPとして発売され、その後も注目を集め続けました。また、2018年には映画『北朝鮮をロックした日 ライバッハ・デイ』が劇場公開され、ライバッハの存在感を改めて知らしめる機会となりました。

ディスコグラフィ

ライバッハのアルバムには、1985年にリリースされた『Laibach』を皮切りに、1986年の『ノヴァ・アクロポラ』、1987年の『オーパス・ディ』、1988年の『レット・イット・ビー』に続いて、さまざまな作品が発表されています。1994年の『NATO』や2006年の『Volk』など、国歌をアレンジした作品でも知られています。最近のアルバムには2023年の『Sketches of the Red Districts』や『Love Is Still Alive』があります。また、サウンドトラックやライブ・アルバムも多数リリースされており、ライバッハの音楽的業績は非常に多岐にわたります。

映画やその他のメディアへの出演

ライバッハは音楽活動だけでなく、映画『北朝鮮をロックした日 ライバッハ・デイ』などにも出演しており、その独自の芸術観や音楽スタイルが多くのメディアで紹介されています。彼らの活動は、音楽の枠を超えたアートとしての側面も色濃く、様々な観客に影響を与え続けています。

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