ライントホター (ミサイル)

ライントホター（Rheintochter）

ライントホター（Rheintochter）は、第二次世界大戦中、ドイツのラインメタル社によって開発された初期の地対空ミサイルです。その名称は、リヒャルト・ワーグナーのオペラ「ニーベルングの指環」に登場する「ラインの乙女」に由来しています。

開発の背景

ライントホターの開発は1942年11月、ドイツ国防軍の命令により始まりました。1943年から1945年にかけて、82基の発射テストが実施されました。その結果、発射に失敗したのは僅か4発であり、その中の22発は無線誘導に成功しました。しかし、より重要な戦闘機の開発が進む中で、ライントホター計画は一時中断を余儀なくされます。計画当初は、地対空ミサイルだけでなく空対空として航空機からの発射が計画されていましたが、結局生産されたのは地上発射型のみでした。発射台は8.8cm FLAK41高射砲を改造したものでした。

開発の中止

ライントホターの開発は1945年2月6日に中止されましたが、現在でも当時の実物がいくつかの博物館で見ることができます。例えば、ミュンヘンのドイツ博物館、ベルリンのドイツ技術博物館、さらにはアメリカの国立航空宇宙博物館のスティーブン・F・ウドヴァーヘイジー・センターに展示されています。また、歴史的な発射場所であるポーランドのウェバにも、ライントホターR1やR3、さらには地対地ロケット「ラインボーテ」が展示されています。

ライントホターの形式

ライントホターには複数の形式がありました。最初に開発されたモデル、R1は2段式の固体燃料ロケットでした。このモデルは長さ6.3m、直径54cm、発射重量は1,750kg、そして最大速度は時速1,080kmで、高度8,000mまで上昇する能力を持っていました。さらに、ライントホターR1は6枚の木製安定翼を持ち、その後部に4枚のブースターを取り付けていました。炸薬はミサイル本体の後部に搭載され、ノズルは炸薬を避ける形で設計されていました。

次に開発されたR2は、R1と大きな違いはなく、ブースター部の安定翼の小改良が施されただけでしたが、最終的に1944年12月にキャンセルされています。最後のモデルのR3は液体燃料式となり、発射重量は1,500kg、弾頭部の炸薬量は100kgで、高度15,000mまでの上昇を可能にすることを目的としていました。しかし、R3は6基のみテスト発射が行われただけです。

まとめ

ライントホター計画は、当時の技術や戦略を反映したものであり、新型ミサイルの開発に向けた重要なステップでした。その展示物は今でも多くの場所で見ることができ、歴史的な意味を持っています。これらのミサイルがどのように設計され、試験されたのかを知ることができる貴重な資料となっています。

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