ラインボーテ

ラインボーテ (Rheinbote)の概要

ラインボーテは、第二次世界大戦中のドイツが開発した地対地ロケット兵器であり、その名は「ラインの使者」という意味を持っています。この兵器は、地対地ミサイルの先駆けとも言える存在で、特にドイツのラインメタル社によって1943年に開発が進められました。ラインボーテは、当時の兵器技術の発展を象徴するものであり、特にその誘導能力と射程の長さが特徴的です。

開発背景と目的

第二次世界大戦時、各国の軍隊は砲兵部隊において輸送問題に直面していました。特に、重火砲やその弾薬を前線に届けることが大きな課題となっていました。こうした背景のもと、ラインボーテは従来の野戦榴弾砲に代わる「超長射程の火砲」として開発されることになりました。従来の砲兵装備の制約を打開することで、戦略的な優位性を追求したのです。

仕様と性能

ラインボーテは、全長11.4メートルの細長い形状を持ち、射程範囲は最大220kmにも達します。多段式（4段式）のロケットによる最高速度はマッハ5.5で、到達高度は78,000メートルです。爆薬量は約40kgで、全体の重量はわずか6.5%に過ぎません。燃料には扱いやすい固体燃料を使用しており、これには同社が既に開発していたライントホターの技術が活用されています。

実戦配備と影響

ドイツ国防軍はその性能を懐疑視していたものの、ナチス親衛隊はラインボーテを支持し、1944年にはRh.z.61/9として正式に採用されました。年末には量産が始まり、最終的には242発が生産されることとなります。このような生産数は、同時期のV1やV2に比べると非常に少ないものでした。発射機は当初12基が計画されていたものの、実際に生産されたのはFLAK41の砲架を改良したもののみでした。

生産されたラインボーテはオランダの第709砲兵大隊に配備され、1944年11月には連合軍占領下のアントワープに向けて実験的に発射されました。この発射は、当時ドイツが行っていた「ラインの守り作戦」における戦略的目標に基づいて行われ、限定的ではあったものの損害を与えました。

戦後の影響と技術的遺産

戦後、ソ連軍はラインボーテの技術を持ち帰り、これを基に無誘導の地対地ロケット兵器であるNATOコード名「FROG」を開発しました。ラインボーテ自体は一発あたりの破壊力が低く、その戦争における直接的な影響は限られていましたが、後の地対地ロケットやミサイル技術の進化に重要な影響を与えたことは確かです。歴史的に見れば、ラインボーテは戦後におけるミサイル技術の発展においても欠かすことのできない一歩となりました。

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