ライン都市同盟

ライン都市同盟

ライン都市同盟（Rheinischer Städtebund）は、1254年にマインツとヴォルムスの間で結ばれた同盟を起源とする、中世ドイツの都市同盟です。ラインラント地方を中心に、ヴェストファーレンやエルベ川沿岸にまで広がり、オーストリアやベーメンを除く地域に存在しました。

成立の背景

13世紀のドイツは、大空位時代と呼ばれる王権の空白期にありました。国内を統一する強力な王が存在しなかったため、各地の諸侯が勢力を拡大し、都市の自治や交易の自由を脅かす状況が生じました。こうした状況に対抗するため、都市は神の平和運動に倣い、自衛的な手段として都市同盟を結成しました。ライン都市同盟は、交易を阻害する領邦諸侯に対抗することを目的とした、平和維持的な性格を帯びていました。

同盟の拡大と構成

ライン都市同盟には、都市だけでなく、諸侯や都市貴族も参加しました。最盛期には70以上の都市が加盟する大規模な同盟へと発展しました。同盟の中心となったのは、ケルン、マインツ、ヴォルムス、シュトラースブルクなどの有力都市であり、これらの都市の守護聖人の日に会合が行われました。

主な加盟都市

ケルン
マインツ
ヴォルムス
シュトラースブルク
リューベック

主な加盟領主

マインツ大司教ゲルハルドス
ケルン大司教コンラドス
ヴォルムス司教リカルドス
フルダ修道院長
など、31名の領主が参加しました。

同盟の分裂と解体

ライン都市同盟と親密な関係にあった国王ヴィルヘルム・フォン・ホラントが1256年に暗殺されると、国王選挙を巡る問題で加盟都市間に利害の対立が発生しました。ケルンやマインツはコーンウォール伯リチャードを支持し、ヴォルムスやシュパイアーはアルフォンソ10世を支持するなど、王位継承争いが同盟の結束を揺るがすことになりました。その結果、1257年10月には領邦諸侯の権力に屈し、ライン都市同盟は事実上解体しました。

意義と影響

ライン都市同盟は短命に終わりましたが、中世ドイツにおける都市の自治意識の高まりを示すものとして重要な意義を持っています。また、都市同盟という形態は、後のハンザ同盟などの成立にも影響を与えたと考えられています。

関連項目

都市同盟
ライン同盟
ラインラント

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