ラウブル

ラウブル：バスク文化の象徴

ラウブル（バスク語: Lauburu）は、「バスク十字」とも呼ばれる独特の十字の形をしたシンボルです。卍に似た曲線状の4つのアームを持つのが特徴で、バスク地方だけでなく、ヨーロッパ各地の文化にもその痕跡が見られます。

起源と歴史

ラウブルは、ケルト人やゲルマン人の芸術、西ゴート族の絵画や彫刻など、ヨーロッパの様々な文化圏で確認されています。スペインのアストゥリアス州やガリシア州では、穀物倉であるオレオにテトラスケレスとして残されています。アラゴン州ではクアトレフエーリャスまたはレリガーダスと呼ばれ、紋章の中で4つ以上の曲線を持つ卍として描かれています。

現在では、バスク人にとって最も有名なシンボルの一つであり、バスク文化を象徴するものとして認識されています。しかし、歴史的にバスク地方の紋章や旗にラウブルが描かれた例はありません。

解釈と意味

ラウブルの起源や意味については、様々な解釈が存在します。古代のシンボルに寓意的な意味を見出そうとする歴史家や研究者も多く、キリスト教以前のシンボルであることは共通認識となっています。

太陽の象徴：太陽信仰との関連性を示唆する説があります。
人生の流れ：人の一生を象徴するという解釈も存在します。
バスクの地方：バスクの4つの地方を4つのコンマが意味するという説もあります。
精神、生命、意識、形態：バスクの知識人イマノル・ムジカは、4つの点がそれぞれ精神、生命、意識、形態を表していると解釈しました。

一般的には、繁栄のシンボルとして用いられることが多いようです。

歴史的変遷

フランスの歴史家カミーユ・ジュリアンは、五賢帝時代以降のバスク地方で、曲線状または直線状の卍型の例を発見していません。16世紀末頃から、ラウブルはバスクの装飾的な意匠として、木製の椅子や墓石に現れるようになります。これは、十字の異なる形態として認識されていたと考えられます。19世紀までは直線状の卍型は見つかっていません。

現在では、バスクの多くの民家や商店で、魔除けとして戸口の上にラウブルが掲げられています。サビノ・アラナはラウブルを太陽の象徴と解釈し、自らが唱えたバスクの太陽崇拝説を支持しました。

現代におけるラウブル

ラウブルは、バスク民族活動党（EAE-ANV）を含む様々なバスクの政治団体の旗や紋章に描かれています。政治的な象徴としてだけでなく、民俗的な特徴やバスク文化のシンボルとしても広く用いられています。

フランコ独裁時代には、バスク文化の多くの要素が抑圧されたため、ラウブルの使用も一部を除いて制限されました。しかし、現代ではバスク文化を代表するアイコンとして、その存在感を示しています。

語源

Lau buruは、「4つの頭」「4つの終点」「4つの頂上」を意味します。ラウブルはラテン語に由来するという説もあり、ケルト語源でlabarumと呼ばれたカンタブリア石碑に遡り、ラテン語のlabarumになったという民間語源説も存在します。しかし、フィデル・フィタ神父は、labarumがアウグストゥス帝時代からバスク語の単語として採用されたという逆の説を唱えています。

ラウブルは、バスク文化の歴史と伝統を体現する、奥深いシンボルなのです。

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