ラウル・サラン

ラウル・アルバン・ルイ・サランの生涯と業績

ラウル・アルバン・ルイ・サラン（Raoul Albin Louis Salan）は、1899年にフランスのタルヌ県に生まれ、1984年に亡くなるまでの間、フランスの軍人として多くの戦争に従事しました。その軌跡は、フランスの植民地帝国の盛衰と密接に関連しています。彼は1918年から1960年まで軍務を守り続け、OAS（フランス・アルジェリア解放戦線）の指導者としても知られるようになります。

初期の経歴と軍務

サランは1917年にサン・シール陸軍士官学校に入学。その後、1918年に第5植民地歩兵連隊に配属され、第一次世界大戦のヴェルダンの戦いに参戦しました。この戦争で彼は経験を積み、1919年までドイツ占領軍に勤務した後、再びサン・シール陸軍士官学校へ戻り、将校としてのキャリアをスタートします。

1924年からはインドシナに派遣され、メコン川流域での行政官を務め、その後もインドシナとフランス本国で様々な役職に就任。特に1938年には植民地省情報局長として重要な地位にありました。

第二次世界大戦における活動

1939年から始まった第二次世界大戦では、サランは自由フランス軍に参加し、トゥーロンの解放戦やアルザスの戦いに参加しました 。彼は迅速な軍事作戦を指揮し、1945年には少将に昇任。

インドシナ戦争とその後

サランは1952年にインドシナ駐留軍の司令官として任命され、ベトミンとの戦闘を指揮。彼の指導のもと、フランス軍は一時的に敵の攻勢を打破しましたが、1954年の制圧には至らず、帰国を余儀なくされました。

アルジェリア戦争とOAS

アルジェリア戦争では、1956年にアルジェリア駐留軍の司令官に就任。その後の混乱の中で、彼は支持を失い、軍の構造改革やテロ事件に関与するようになります。サランは反乱を支持し「フランスのアルジェリア」運動を展開しましたが、組織内の分裂とともに彼の立場も危うくなりました。

1961年、サランは亡命を試み、OASと連携し、フランス全土での反ド・ゴール運動を実施しました。しかし、彼らの行動は反感を招き、最後には逮捕されます。

結末とその影響

1962年にはOASの指導として死刑判決を受けつつも、ド・ゴールによる法廷の解散により無期懲役となりました。その後、1968年に恩赦を受けて釈放され、1995年には名誉回復がなされています。1984年には入院し、最期を迎えます。

サランの生涯は、フランスの植民地歴史や第二次世界大戦、インドシナ、アルジェリア戦争と深い関係があります。彼を通じて、当時の厳しい現実と軍人たちの葛藤、そして政治的な動乱が浮き彫りになります。

もう一度検索