ラウル・ラミレス

ラウル・ラミレス（Raúl Ramírez, 1953年6月20日 - ）は、メキシコ・バハ・カリフォルニア州エンセナーダ出身の元男子プロテニス選手です。本名はラウル・カルロス・ラミレス・ロサーノ。1970年代にメキシコを代表する選手として活躍し、ATPツアーでシングルス19勝、ダブルス60勝を挙げた実力者として知られています。

ダブルスでは、アメリカのブライアン・ゴットフリートと名コンビを組み、39個ものタイトルを獲得。4大大会男子ダブルスでは、全仏オープンで1975年と1977年、ウィンブルドンで1976年に優勝しました。シングルス自己最高ランキングは4位。身長182cm、体重79kg、右利きでした。

少年時代の挫折とアメリカでの研鑽

ラミレスは少年時代、地元の英雄であるラファエル・オスナの指導を受けていましたが、オスナは1969年6月に飛行機事故で急逝。大きな悲しみを乗り越え、ラミレスはアメリカ・南カリフォルニア大学でテニスの腕を磨き、そこでブライアン・ゴットフリートと出会い、共に練習に励みました。

プロデビューとウィンブルドン混合ダブルス準優勝

オスナの死去から2年後の1971年、ラミレスはプロテニス界にデビュー。同年の全米オープンで4大大会に初出場を果たしますが、1回戦でスタン・スミスに敗れます。1973年のウィンブルドンでは、ジャネット・ニューベリーとの混合ダブルスで決勝に進出。オーウェン・デビッドソン＆ビリー・ジーン・キング組に敗れはしたものの、準優勝を果たしました。

キッツビュールでの単複優勝と全仏での躍進

ウィンブルドン混合ダブルス準優勝の直後、ラミレスはオーストリア・キッツビュール大会で単複優勝を飾り、ここから彼の優勝記録が始まりました。1974年から1978年まで、全仏オープンで5年連続のベスト8入りを果たし、その実力を示しました。

ゴットフリートとの黄金時代

ラミレスは当初、クリストファー・モットラムなどとダブルスを組むことが多かったものの、1974年5月からはブライアン・ゴットフリートとペアを組むようになります。1975年には、ダブルスで年間12勝を記録。同年から1977年まで、全仏オープンの男子ダブルスで3年連続決勝進出を果たし、1975年にはフィル・デント＆ジョン・アレクサンダー組を破って4大大会初優勝を飾りました。

ジャパン・オープンでの単複優勝

1975年にはジャパン・オープンで来日し、単複優勝を成し遂げました。シングルス決勝では、準々決勝でジョン・ニューカム、準決勝でケン・ローズウォールを破り、決勝ではマニュエル・オランテスを破って優勝。ゴットフリートとのダブルスでも、決勝でオランテスとフアン・ヒスベルト組に勝利し、単複でオランテスを破るという快挙を達成しました。

全仏とウィンブルドンでの躍進

1976年は、ラミレスにとってキャリアのハイライトとなる年でした。全仏オープンとウィンブルドンで、メキシコ人男子テニス選手として史上初のシングルス準決勝に進出。全仏オープンではハロルド・ソロモンにフルセットで敗れ、ダブルス決勝でも敗れて2連覇を逃しますが、続くウィンブルドンではイリ・ナスターゼに敗れたものの、ダブルス決勝でロス・ケース＆ジェフ・マスターズ組を破り、4大大会ダブルス2勝目を挙げました。

全仏オープンでの連覇阻止と準決勝敗退

1977年の全仏オープンでは、2年連続のシングルス準決勝に進出。準々決勝では前年優勝者のアドリアーノ・パナッタを破り、連覇を阻止しましたが、準決勝ではギリェルモ・ビラスに完敗。ゴットフリートとのダブルスでは、決勝でヤン・コデシュ＆ヴォイチェフ・フィバク組を破り、2年ぶり2度目の優勝を果たしました。

現役引退

1979年以降、ラミレスのシングルス成績は下降し始めましたが、ゴットフリートとのダブルスでは、1979年ウィンブルドンと1980年全仏オープンで準優勝。1983年のウィンブルドンで途中棄権した試合を最後に、30歳で現役を引退しました。

ラウル・ラミレスは、メキシコテニス界に大きな足跡を残した偉大な選手として、今もなお多くの人々に記憶されています。

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