ラオスの宗教

ラオスの宗教

ラオスにおける宗教は、仏教が中心的な役割を果たしています。しかし、他の宗教も存在し、その歴史は複雑に絡み合っています。以下に、ラオスの宗教について詳しく解説します。

仏教

ラオスでは、上座部仏教が主流です。その歴史は8世紀頃にモン族によって伝えられたことに始まります。しかし、仏教がラオスで広く受け入れられ、定着したのはラーンサーン王国のファーグム王の時代からです。16世紀には、ウィスン王がサンガ（僧伽）を支援し、サンガは王の正統性を与えるという相互関係が築かれました。次のポーティサラート王は、精霊信仰を禁止し、仏教の布教をさらに進めました。

1779年、ラオスはシャム（現在のタイ）の支配下に置かれ、タイ仏教の影響を強く受けるようになりました。この時期に、タマユット派が導入され、在来のマハーニカーイ派と区別されるようになりました。タマユット派は、ラオス内戦時に反共主義の立場をとったため、1975年の社会主義政権成立後、禁止されました。1976年には、両派はラオス統一仏教協会に統合されました。政権を掌握したラオス人民革命党は、僧侶が生産活動に従事せず、人々の生活を支える役割を果たしていないと批判し、僧侶へのマルクス・レーニン主義教育を強要しました。これにより、サンガはラオス人民革命党の統制下に置かれ、仏教は実質的に抑圧されることになりました。しかし、1980年代になると、ラオス人民革命党は仏教をラオスのアイデンティティとして利用するようになり、政治的な手段として活用するようになりました。

キリスト教

ラオスにキリスト教が伝えられたのは17世紀のことで、イエズス会のイタリア人宣教師ジョバンニ・マリア・レリアによるものです。キリスト教が普及したのは、フランス植民地時代からです。1886年には、カムアン県にカトリック教会が設立され、1900年代に入ると、教会は各地に設立され、キリスト教は全土に広がりました。しかし、1975年の社会主義政権成立後、CIAの部隊として反体制活動を行ったモン族の人々が多くプロテスタントに改宗していたため、キリスト教徒はラオス人民革命党政権によって迫害されることになりました。1980年代に市場経済化が進められると、キリスト教は再び認められ、1991年のラオス憲法では合法的な活動が尊重され、保護されると定められました。しかし、現在でも当局によるキリスト教への弾圧の報道が見られます。

その他の宗教

ラオスには、上記の主要な宗教以外にも、少数の信者が存在する宗教があります。バハーイー教の信者は約2000人、イスラム教の信者は約1600人います。また、宗教を信仰していない人は約200万人に上ります。

このように、ラオスの宗教は、仏教を中心にしながらも、多様な宗教が存在し、それぞれが複雑な歴史的背景と社会情勢の中で展開してきたことが分かります。

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