ラオス人

ラオス人とは、東南アジアに位置するラオス人民民主共和国の国籍を有する人々の総称です。この定義には、多数派民族であるラーオ族だけでなく、様々な少数民族も含まれています。そのため、「ラオス人」という言葉は、民族としての「ラーオ族」を指すものではありません。

ラオス政府は、国内の民族同化政策を推進する過程で、ラオス国籍を持つ全ての人々を「ラオス人」と定義しました。その上で、彼らが居住する地理的な環境によって、以下のように分類しています。

低地ラーオ族（ラーオルム）: 主に平野部や低地に居住する人々。
丘陵地ラーオ族（ラーオトゥン）: 主に丘陵地帯に居住する人々。
* 高地ラーオ族（ラーオスーン）: 主に山岳地帯などの高地に居住する人々。

この分類法の大きな特徴は、高地に行くほど少数民族の割合が高くなる点です。この構造が、低地ラーオ族や丘陵地ラーオ族が、より高地に住む人々に対して、大小様々な差別を行うという問題を生み出しています。このような差別は、社会的な不平等や民族間の対立を助長する要因となっています。

さらに、この分類は、人々の言語的な違いではなく、出生地域に基づくという非常に政治的な色彩の強いものです。そのため、民族や文化を研究する学術的な分野においては、この分類法が利用されることはほとんどありません。学術的な研究では、より詳細な民族分類や言語的な分類が用いられます。この政府による分類は、民族の多様性を考慮せず、政治的な意図が色濃く反映されたものであると言えるでしょう。

ラオスという国家における「ラオス人」の定義は、単純な民族区分ではなく、複雑な歴史的、政治的背景を内包しています。ラオス社会の多様性を理解するためには、このような分類の背景にある政治的意図や差別構造を認識することが不可欠です。そして、民族や文化の多様性を尊重する視点を持つことが、より公平で平和な社会の構築に繋がるでしょう。

ラオス人という言葉を使う際には、その背後にある複雑な歴史的経緯や社会構造を理解し、民族的な多様性を尊重する姿勢が求められます。安易な分類やステレオタイプに陥ることなく、個々の人々が持つ固有の文化や価値観を尊重することが大切です。

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