ラオホビア

ラオホビア (Rauchbier)

ラオホビアは、ドイツ語で「煙のビール」を意味する、独特な燻製香が特徴のビアスタイルです。スモークビールの一種でもあります。

概要

「ラオホ」とはドイツ語で「煙」を意味し、ラオホビアは燻製した麦芽を下面発酵させて造られます。中でも、ドイツ・バンベルクの醸造所シュレンケルラのラオホビアは特に有名です。

最大の特徴は、麦芽を燻製することで生まれるスモーキーな風味。それに加えて、ほのかな甘味も感じられます。

日本地ビール協会の『ビアスタイル・ガイドライン 1208』では、スモークビールのサブスタイルとして「バンベルクスタイル・ラオホビール」が定義されており、ベースとなるビールのスタイルによってさらに細かく分類されています。

ヘレス・ラオホ
メルツェン・ラオホ
ボック・ラオホ
ヴァイス・ラオホ
デュンケル・ヴァイス・ラオホ

ヴァイス・ラオホとデュンケル・ヴァイス・ラオホは上面発酵ビールに分類されます。アルコール度数、苦味(IBU)、色(SRM)は、ベースとなるビアスタイルによって異なります。

歴史

かつては、麦芽を覆いのない火の上に晒して乾燥させていました。この際、麦芽が煙で燻されることで、独特の燻製香が付き、それがビールにも反映されていました。昔は直射日光を利用して乾燥させることもありましたが、間接的な熱を利用する乾燥窯が登場したのは、意外にも紀元前1世紀頃のことでした。

穀物からビールを造る様々な手法が存在しましたが、燻製風味を持つビールは一般的ではありませんでした。

18世紀初頭から麦芽の乾燥窯が普及し始め、19世紀半ばには一般的な手法となりました。しかし、煙を外部に排出する構造の窯が登場したことで、麦芽に燻製香が付かなくなり、ビールの風味も変化しました。その結果、燻製風味のビールは次第に姿を消していきました。

ビールに燻製風味を付ける別の方法として、火ではなく、木製の容器に入れて加熱するビスケットを使用する方法も存在します。

バンベルクのラオホビア

しかし、一部の醸造所は昔ながらの製法を守り続け、燻製麦芽を使ったビール造りの伝統を維持しました。これらの醸造所は、現在もバンベルクに存在し、他の5つの醸造所と共に操業しています。これらの醸造所では、ブナの丸太を燃やした炎の上で麦芽を乾燥させ、様々な種類のラオホビアを製造しています。

ドイツ以外のラオホビア

ラオホビアは、ドイツ以外でも製造されています。

オーストラリア: フェラル・ブルーイング・カンパニーが「Redoak Rauchbier」を製造。
ブラジル: アイゼンバーンが「Eisenbahn Rauchbier」を製造。
イタリア: ミラノのBirrificio Lambrateが「Ghisa」を製造。
日本: 山梨県南都留郡富士河口湖町'>[三重県]]伊賀市の伊賀の里モクモク手づくりファームの地ビール工房モクモクブルワリーで、忍者の煙幕にちなんだラオホビアが醸造されています。また、富士桜高原麦酒]でもラオホビアが[[醸造されています。
スウェーデン: ニルス・オスカー醸造所が「Anders Göranssons Bästa Rököl」を製造。

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