ラカンカ

ラカンカ：神秘の甘味料とその薬効

ラカンカ（羅漢果、学名：Siraitia grosvenorii）は、中国広西チワン族自治区を原産とする多年生のつる植物です。かつてはツルレイシ属に分類されていましたが、1984年にラカンカ属へと変更されました。その名は、薬効の高い実から仏教の羅漢になぞらえられたという説や、丸い実が羅漢の頭に似ているという説、あるいは発見者に由来するという説など、複数の由来が伝えられています。

生態と栽培

ラカンカは亜熱帯の山岳地帯を好み、広西チワン族自治区の永福県、融安県、臨桂県の3県が主要な産地であり、世界生産量の約9割を占めています。つる性の雌雄異株の多年草で、地下には塊茎を作ります。蔓は5メートルにも達し、6～8月には小さな黄色の花を咲かせます。8～10月には4～6センチの円形または倒卵形の果実をつけ、熟すと濃緑色に光沢を帯びます。収穫期は9～11月です。

主な栽培品種は長灘果、青皮果、冬瓜果、拉江果の4種で、長灘果が最も品質が高いとされていますが、収穫量は少ないため、収穫量の多い青皮果が広く栽培されています。近年では品種改良も進められています。

甘味料としてのラカンカ

ラカンカは、その強い甘味で知られています。生で食べることは少なく、乾燥させて砕いたものを煎じて羅漢果茶として飲用したり、料理の甘味料として使用されます。また、水やメタノールで抽出したものは「ラカンカ抽出物」として食品材料にも利用されます。日本へは乾燥した果実が輸入されています。

ラカンカの甘味成分の主成分はモグロシドというトリテルペン配糖体で、ブドウ糖や果糖も含まれます。モグロシドは人体でエネルギー源として利用されないため、カロリーゼロの天然甘味料として注目されています。

日本では、モグロシドVの含有量によって食品と食品添加物に分類されます。単純抽出物はモグロシドV含有量が1～2％程度で食品扱いですが、精製・濃縮されたものは食品添加物として扱われます。ただし、モグロシドは比較的新しい成分であるため、安全性の評価は十分ではないという意見もあり、一部では使用を控えているケースもあります。ハーバード大学医学部も、2021年11月1日にラカンカ由来の甘味料は砂糖よりも健康的であると発表しています。

薬効と健康効果

ラカンカのモグロシドなどの成分には薬理作用があり、健康食品として販売されているものもあります。中国では古くから、喉や肺を潤し、咳を鎮める効果があるとされ、日本ののど飴などにも抽出物が添加されています。便秘解消効果も期待されています。現在も、その薬効に関する研究が進められています。

ラカンカと他の甘味植物

ラカンカ以外にも、甘味成分を含む植物は数多く存在します。例えば、ステビアはステビオシドという甘味ジテルペン配糖体を含み、甘草はグリチルリチンという甘味トリテルペン配糖体を含みます。これらの植物も、それぞれ独自の甘味と薬効を持っています。

まとめ

ラカンカは、その独特の甘味と薬効から、甘味料や健康食品として幅広く利用されています。今後も、その安全性と薬効に関する研究が進むことで、さらにその利用範囲が広がることが期待されます。

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