ラザフォード・オールコック

サー・ジョーン・ラザフォード・オールコック

サー・ジョーン・ラザフォード・オールコック（Sir John Rutherford Alcock、1809年5月 - 1897年11月2日）は、イギリスの医師であり外交官として知られています。彼は特に幕末の日本における外交業務を担い、初代駐日総領事としての重要な役割を果たしました。

生い立ちと医師としてのキャリア

オールコックはロンドンのイーリングで生まれ、若い頃に父親から医学の学びを受けました。ウェストミンスター病院やパリでの医学の学びを経て、1830年には外科医としての免許を取得します。イギリス軍の軍医としてイベリア半島での任務を経た後、リウマチを患い、外科医としての道を断念しました。

医師のキャリアから外交に転身したオールコックは、1844年に清国での領事任命を受け、中国に長期間駐在していました。この時期、彼は清国との貿易拡大や市場開拓に力を入れました。

日本への派遣

1858年、日本とイギリスとの修好通商条約締結に伴い、オールコックは初代駐日総領事として日本に派遣されます。彼は、長崎と神奈川を視察しながら総領事館の設置に尽力しました。特に、7月1日の開港に向けて幕府との交渉を進め、江戸城での批准書の交換を成功させました。

オールコックは、日本の農村の様子を観察し、民衆の生活の質が高いことを述べた記録を残しています。彼は、日本の自然と文化の美しさを称賛し、精緻に耕された農地や清潔な風景を賛美しました。

富士登山と攘夷派の襲撃

オールコックは1860年、日本人として初めて富士山登頂を果たし、登山の後に熱海へも訪問しました。この旅行の際に愛犬トビーを失った出来事は、後の記念碑として残されています。

しかし、公共の安全が脅かされる中で、オールコックは外国人の安全を保障できないとして幕府に抗議し、 diplomatic strugglesが展開されました。特に、1861年には攘夷派による外交官への襲撃が多発する中、彼は自身や外交団の安全確保に苦心しました。

中国への帰任と著作

1864年に再度日本に赴任したオールコックは、攘夷の気運が高まる日本において、留まることの難しさを痛感しました。その後、彼は清国駐在公使として北京に任命され、1869年まで在任しました。外交官引退後は王立地理学会や様々な政府委員会の委員として活動しました。

オールコックの著作『大君の都』は、彼の日本滞在を記録した重要な文献です。この中で日本人の生活や文化について独自の観点から多くの洞察を提供し、日本の歴史や文化の理解を深めるための貴重な資料となっています。

彼の著作は、異文化間の比較や技術力、衛生意識についての観察をもとに、日本の社会の特徴を捉えようとしたものであり、その評価は今なお広く知られています。オールコックの外交としての姿勢と彼が抱いた日本に対する見解は、現代においても多くの人々に影響を与えています。彼は1897年にロンドンで死去しましたが、その偉業は今も語り継がれています。

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