ラシュトラパティ・バワン

ラシュトラパティ・バワン（Rashtrapati Bhavan）は、インドの首都ニューデリーに位置する、インド大統領の公邸です。その広大な敷地面積は約130ヘクタールにも及び、国家元首の官邸としては世界最大規模を誇ります。

歴史的背景

この壮大な建造物の歴史は、1911年12月にイギリス統治下のインドで、首都機能をコルカタからニューデリーへと移転する決定がなされたことに端を発します。この首都機能移転に伴い、新たなインド総督府を建設することが計画され、その設計は著名な建築家エドウィン・ラッチェンスに委ねられました。

当時のインド総督チャールズ・ハーディングは、4年以内の総督府完成を強く望んでいましたが、1912年に着工した建設工事は、第一次世界大戦の影響などにより大幅に遅延し、完成までに実に17年以上の歳月を要しました。この遅延は、当時の世界情勢が大きく影響した結果と言えるでしょう。

インド独立後の変遷

インドが独立を達成した後、この建物はインドの大統領官邸としてその役割を新たに担うことになりました。かつてのイギリス統治の象徴であった建造物が、独立国家インドの象徴として新たな歴史を刻み始めたのです。

建築的特徴

ラシュトラパティ・バワンは、その壮大な規模だけでなく、建築様式も非常に特徴的です。エドウィン・ラッチェンスの設計により、インドの伝統的な建築要素と西洋の建築様式が融合した、独特なスタイルを持っています。建物全体は、赤砂岩と白大理石を基調としており、重厚感と優雅さを兼ね備えています。

内部には、大統領の執務室、公式晩餐会が行われる大広間、客室などがあり、その一つ一つが豪華で装飾に富んでいます。また、広大な庭園は、ムガル庭園のスタイルを取り入れており、美しい花々や噴水が配置され、訪れる人々に安らぎを与えています。

現在の役割

今日、ラシュトラパティ・バワンは、インド大統領の公邸としてだけでなく、国家の重要な行事や式典が開催される場所としても利用されています。また、世界各国からの要人をもてなす迎賓館としての役割も果たしています。

ラシュトラパティ・バワンは、その歴史、建築、そして役割において、インドの歴史と文化を象徴する重要な建造物と言えるでしょう。

公式サイト

さらに詳しい情報については、ラシュトラパティ・バワンの公式サイトをご覧ください。

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