ラジオ技術

ラジオ技術の歴史と変遷

『ラジオ技術』は、アイエー出版が発売元、インプレスが刊行するオーディオマニア向けの雑誌です。その歴史は1947年4月にラジオ技術社の設立とともに始まりました。当初は科学社から刊行され、その後、ラジオ技術社、インプレス販売、インプレスコミュニケーションズと刊行元を変えながら、長年にわたり読者に愛されてきました。現在はアイエー出版が発売元、インプレスが発行元となっています。

創刊当初は、ラジオ受信機を中心としたエレクトロニクス、つまり電子技術や工学を扱う雑誌でした。しかし、1950年代半ばから、その内容は高級オーディオや自作アンプといった、より専門性の高い分野へとシフトしていきました。これは、戦後のラジオ受信機が、より高性能なスーパーヘテロダイン方式へと進化し、アマチュアによる製作や改造が盛んになった背景があります。その中で、『ラジオ技術』は、技術的な情報を提供し、読者の要望に応えてきたのです。

また、ラジオ受信機にSPレコード再生機能を付加した「電気蓄音機（電蓄）」の登場も、この雑誌に大きな影響を与えました。真空管オーディオに関する様々な記事が掲載され、オーディオマニアにとって貴重な情報源となっていきます。さらに、テレビ試験放送が開始されると、テレビの各部回路の解説や調整記事も掲載され、その技術追求も行っていました。そこから派生して、真空管アンプの設計製作、テレビ技術、カラーテレビ技術、電卓技術といった実用専門書籍も刊行し、これらの書籍は中古市場で長く流通し、復刻版が発行されるほどの人気を博しました。

1990年代に入ると、オーディオ・ビジュアル関係の記事を『aVle』という新雑誌に移行し、より純粋なオーディオ分野に特化しました。しかし、『aVle』は早期に休刊となってしまいます。他の無線やエレクトロニクスの製作記事を中心とした雑誌が休刊する中で、『ラジオ技術』や『無線と実験』（現『MJ』）は、タイトルに反してラジオや無線の記事はほとんどない、オーディオ誌として、オーディオマニア向けの雑誌として刊行を続けています。

近年の動向と現在

近年では、広告収入の減少や読者の高齢化に伴い、販売部数が低下し、経営は赤字が続いていました。また、編集長の視力悪化も重なり、2022年7・8月合併号からは隔月刊行となり、2022年11月号からは書店での販売を中止し、出版社からの直販制に移行しました。さらに、2022年12月号をもって一旦休刊し、その後は年6回不定期刊行の定期購読での直販という形態に変更されました。

このように、『ラジオ技術』は、時代の変化とともに、その姿を変えながらも、オーディオファンにとって欠かせない存在として、その歴史を紡いできました。創刊から長きにわたり、電子技術の変遷を記録し、オーディオ文化を支え続けてきた雑誌と言えるでしょう。

関連情報

• - アイエー出版 公式サイト
• - BOOTH アイエー出版 - PDF版「ラジオ技術」の販売サイト
• - 月刊ラジオ技術編集部のtz (@RADIOGIJUTSU) - X（旧Twitter）

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