高級オーディオ

高級オーディオとは

高級オーディオとは、Hi-Fi（高忠実度）を追求したり、オーディオ愛好家が自身の理想とする音質を実現するために構築された、趣味性の高いオーディオシステム、およびそれを構成する音響機器群を指します。一般的には高価格帯の機器で構成されるコンポーネントステレオを指し、その世界は専門メーカーが多数参入しています。

家電量販店で見かけるソニー、オンキヨー、デノンといったメーカーに加え、マランツ、タンノイ、アキュフェーズなど、オーディオ専門店やウェブサイトでしか見られないメーカーも存在します。特に、ピュアオーディオは高級オーディオの代表的な形態であり、これらのメーカーも高品質な製品を数多く展開しています。

ピュアオーディオの特徴

ピュアオーディオは、据え置き型のステレオスピーカーと専用コンポーネントで構成されるため、システム全体が大規模になる傾向があります。機器の性能を最大限に引き出すためには、電子回路や信号処理に関する専門知識が要求される場合があります。また、定期的なメンテナンスや音響特性を考慮した専用のオーディオルームが必要になることもあります。

ピュアオーディオのシステムは、スピーカーペアに数百万円、クリーン電源に数十万円、プリアンプとパワーアンプを分離したり、CDプレーヤーをトランスポート、DAC、マスタークロックジェネレーターに分離するなど、電源からスピーカーに至るまで、総額で1000万円を超える投資になることも珍しくありません。

高級オーディオへの批判

オーディオデータの品質、機器の物理構造、人間の聴覚には限界があります。数百万円を超えるシステムになると、それ以上の投資をしても音質の改善幅は小さくなり、コストパフォーマンスは著しく低下します。中には、ピュアオーディオの信仰心につけ込んだオカルト的な製品や、人間の聴覚を遥かに超えた、ごくわずかな数値改善しか見込めない過剰なスペックの製品も存在します。オーディオマニアがそのような製品に大金を費やし、プラシーボ効果で改善を実感してしまう例も見られます。

その他のオーディオ分野

音楽制作の現場では、音声データの品質を正確に把握するためのプロオーディオが使用されます。プロオーディオ機材も高価になる傾向がありますが、音質の分析や粗探しを目的とするため、リスニング向けの高級オーディオとは異なるジャンルです。

近年の動向

2010年代後半以降、娯楽の多様化やスマートフォンの普及により、音楽鑑賞という趣味自体が下火になっています。スマートフォンとイヤホンでも十分な高音質で音楽を楽しめるようになったため、オーディオ専業メーカーの経営破綻も相次ぎ、高級オーディオというジャンル自体が衰退に向かっています。

まとめ

高級オーディオは、かつては多くのオーディオファンを魅了した趣味の世界でしたが、時代の変化とともにその姿を変えつつあります。しかし、その技術と音へのこだわりは、今でも多くのオーディオ愛好家たちによって受け継がれています。

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