ラスト・コマンド

W.A.S.P.のセカンド・アルバム『ラスト・コマンド』（1985年）は、バンドの音楽性をさらに進化させ、その地位を確立した重要な作品です。

制作背景

前作からのメンバー交代があり、トニー・リチャーズに代わってスティーヴ・ライリーがドラムスとして加入しました。プロデューサーには、クワイエット・ライオットとの仕事で知られるスペンサー・プロファーを迎え、サウンド面での新たな試みがなされました。また、楽曲「ランニング・ワイルド・イン・ザ・ストリーツ」には、当時クワイエット・ライオットのメンバーであったカルロス・カヴァーゾとチャック・ライトがバッキング・ボーカルとして参加しています。

日本盤は東芝EMIから通常盤に加え、ポスター、ブックレット、ステッカー、バンドロゴの装飾品が付属した限定盤もリリースされました。

このアルバムに伴うツアー後、ランディ・パイパーがバンドを脱退。その後、ブラッキー・ローレスはベースからギターにパートを変更しました。

楽曲について

アルバムには、W.A.S.P.の代表曲の一つである「ワイルド・チャイルド」が収録されています。この曲は、ブラッキー・ローレスとクリス・ホルムズの共作で、ドラマチックな展開とキャッチーなメロディが特徴です。その他、「ボールクラッシャー」、「フィストフル・オブ・ダイヤモンド」、「ブラインド・イン・テキサス」など、ヘヴィメタル・アンセムとして知られる楽曲が多数収録されています。

1998年の再発盤には、MOUNTAIN(マウンテン)のカバー「ミシシッピー・クィーン」やライブ音源などのボーナス・トラックが追加収録されています。

反響

『ラスト・コマンド』は、アメリカのBillboard 200で49位、全英アルバムチャートで48位を記録しました。シングル「ワイルド・チャイルド」は、1986年に全英シングルチャートで71位に達しています。ノルウェーのアルバム・チャートでは4週連続でトップ20入りし、最高14位を記録しました。日本のオリコンLPチャートでは、限定盤が32位、通常盤が60位を記録しました。

参加ミュージシャン

ブラッキー・ローレス - ボーカル、ベース
クリス・ホルムズ - リードギター、リズムギター
ランディ・パイパー - リードギター、リズムギター、バッキング・ボーカル
スティーヴ・ライリー - ドラムス、バッキング・ボーカル

ゲスト・ミュージシャン

カルロス・カヴァーゾ - バッキング・ボーカル(on #9)
チャック・ライト - バッキング・ボーカル(on #9)

総括

『ラスト・コマンド』は、W.A.S.P.の音楽性を確立し、その後の活動に大きな影響を与えた作品です。ヘヴィメタル・ファンにとって必聴の一枚であり、W.A.S.P.の代表作として、現在も多くの人々に愛され続けています。

カバー

ワイルド・チャイルド
ハイランド・グローリー - アルバム『フォーエヴァー・エンデヴァー』（2005年）の日本盤CDにボーナス・トラックとして収録。

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