ラスト・ナイツ

『ラスト・ナイツ』は、紀里谷和明監督がハリウッドで初めてメガホンを取った2015年製作のアメリカ映画です。時代劇『忠臣蔵』を大胆にアレンジし、舞台を封建的な帝国に置き換え、騎士道精神を重んじる者たちの戦いを描いた作品となっています。

物語は、混沌とした時代を経て建国された帝国を舞台に展開します。かつては規律と忠誠心が重んじられていた騎士の制度も、私利私欲にまみれた者たちの台頭によって形骸化しつつありました。そんな中、古き良き騎士道を信奉するバルトーク卿は、権力者ギザ・モット大臣から賄賂を要求されますが、これを拒絶します。

ギザ・モットの怒りを買ったバルトーク卿は、反逆罪で裁かれ、処刑されてしまいます。愛する主君を失ったライデン隊長は、バルトーク卿の遺志を継ぎ、復讐の道を歩むことを決意します。

バルトーク卿の死後、かつての騎士団は解体され、メンバーはそれぞれ新たな人生を歩み始めます。しかし、ライデンだけは酒と女に溺れ、堕落した日々を送っていました。一方、ギザ・モットは復讐を恐れて周囲を警戒し、自身の館を要塞のように固めます。

しかし、ライデンは表面上は堕落した生活を送る一方で、密かに復讐計画を進めていました。かつての仲間たちと連絡を取り合い、ギザ・モット暗殺を企てます。熟練の職人としてギザ・モットの館に出入りする仲間からの情報や、バルトーク卿の親友であるオーギュスト卿の協力を得て、ライデンたちはついにギザ・モットの館を襲撃します。

激しい戦闘の末、ライデンたちはギザ・モットを討ち取り、バルトーク卿の仇を討つことに成功します。民衆はライデンたちを英雄として祭り上げます。しかし、皇帝はライデンの処遇に苦慮します。最終的に、オーギュスト卿の提案を採用し、ライデンの部下たちは許されますが、ライデン自身は反逆罪で死刑を宣告されます。

ライデンは、部下たちに騎士の掟を守り、バルトーク家を守るよう言い残し、静かに最期を迎えます。

本作は、クライヴ・オーウェン、モーガン・フリーマン、アクセル・ヘニーなど、ハリウッドを代表する俳優たちが豪華キャストとして出演しています。特に、モーガン・フリーマンが演じるバルトーク卿は、年齢設定がフリーマンの実年齢に近い70歳代に設定されており、彼の深みのある演技が作品に重厚さを与えています。

アクションシーンはCGを一切使用せず、俳優たちが生身で演じているため、その迫力とリアルさは必見です。アクション監督は、『オールド・ボーイ』や『ブラザーフッド』で知られるチャン・ドゥホンが務めています。

撮影はチェコのプラハで行われ、古城や修道院などが舞台として使用されています。当初はインドでの撮影が予定されていましたが、諸事情により変更されたとのことです。

『ラスト・ナイツ』は、ハリウッドと韓国、そして日本の資金によって製作された国際共同製作作品です。日本での公開時には、X JAPANの楽曲「BORN TO BE FREE」がCMテーマソングとして使用されました。

紀里谷監督は、2009年の『GOEMON』公開後に本作の脚本を受け取り、そのスピード感と本質に惹かれて制作を決めたと語っています。当初の脚本は日本を舞台としたものだったそうですが、黒澤明監督作品の影響を受け、舞台を西欧風の封建国家に変更したとのことです。多額の資金調達に2年を要したというエピソードも、本作の制作の裏側に秘められた苦労を感じさせます。

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