ラス・カリフォルニアス

ラス・カリフォルニアスの概要

ラス・カリフォルニアス（Las Californias）は、1768年から1804年までヌエバ・エスパーニャ副王領に属していた地域で、西半球と東インドのスペイン植民地の北西端を形成していました。この名称の使用には歴史的な混乱が伴いましたが、これはスペインの植民政府が特定の地理的区域を示すために用いていたためです。

語源

当初から「ラス・カリフォルニアス」という呼称には複雑な背景があり、カリフォルニア研究者であるセオドア・ヒッテルはその由来について言及しています。この地域名は、数世代にわたり異なる解釈を生み出してきたため、正確な理解を得ることが困難でした。

歴史的背景

カリフォルニアでの植民の試みは、1683年にイエズス会の宣教師エウセビオ・キノによって開始されましたが、彼の企画したミッション・サン・ブルーノは頓挫しました。1697年に別のイエズス会士フアン・マリア・デ・サルバティエラが設立したミッション・デ・ヌエストラ・セニョーラ・デ・ロレト・コンチョが成功し、これがカリフォルニア最初の永住地となりました。このミッションはロレトの中心として機能し、さらに南部には18の伝道所が設けられました。

1767年、イエズス会が追放され、フランシスコ会が後を継ぎます。この移行に関連して、ガスパル・デ・ポルトラが総督として任命され、ホセ・デ・ガルベスが州の組織化を進めました。その結果、「ラス・カリフォルニアス」という名称が1768年に新たに導入され、旧ミッション地域（アンティグア）や北部の未探索地域（ヌエバ）の区別が試みられました。

区域の分割

1804年には、この地域はアルタ・カリフォルニア州とバハ・カリフォルニア州に二分されました。アルタ・カリフォルニア州は、サンフランシスコから北方面へ広がり、メキシコ独立後もこの分割は続けられましたが、人口が少なかったため実質的には領土に降格されることとなります。

1836年には、「シエテ・レイェス」と呼ばれる改革が行われ、再びラス・カリフォルニアスと称されるようになりましたが、米墨戦争の影響でこの地域も再度分割されます。1847年、米墨戦争の結果としてアルタ・カリフォルニアの大部分がアメリカに譲渡され、以降「ラス・カリフォルニアス」や「アルタ・カリフォルニア」という名称は公式に使用されなくなりました。1850年にはカリフォルニア州が設立されますが、バハ・カリフォルニアは20世紀までメキシコの直轄地であり続けました。1930年にバハ・カリフォルニアは南北に分割され、1952年に北部がバハ・カリフォルニア州、1974年には南部がバハ・カリフォルニア・スル州としてそれぞれ州に昇格しました。

地理的特徴

バハ・カリフォルニア半島は、南と西に太平洋、東にカリフォルニア湾という海に囲まれています。アルタ・カリフォルニア地区は、太平洋側からシエラネバダ山脈、コロラド砂漠などの自然の障壁により、内陸部の探査が限られていました。1819年にはアダムズ＝オニス条約により北端の州境が決められ、現在に至るアメリカ合衆国のカリフォルニア州、ネバダ州、ユタ州の州境となっています。

スペイン及びメキシコ時代を通じて、カリフォルニアの東部端は公式に統治されることはなく、地域の開発には多くの困難が伴いました。これらの地理的制約が、スペイン入植者による植民に対する障壁となり、結果的にこの地域の歴史に影響を与えることとなりました。

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