ラセーグ徴候

ラセーグ徴候とは

ラセーグ徴候（Lasegue's sign）は、神経診断学において、坐骨神経麻痺などの神経根症状を評価するために行われる重要な検査です。SLR（Straight Leg Raising Test、下肢伸展挙上検査）、ラセーグテストとも呼ばれます。この検査は、下肢の挙上によって誘発される痛みのパターンを観察することで、腰椎椎間板ヘルニアなどの疾患の診断に役立ちます。

検査方法

患者は仰向けに寝た状態で、検査者は片側の下肢をゆっくりと挙上させます。この際、膝を伸ばしたまま（下肢伸展）挙上することが重要です。もし、大腿後面から膝下にかけて坐骨神経領域に沿って痛みが生じ、股関節の屈曲が制限されるようであれば、ラセーグ徴候陽性と判断されます。

座位での検査は、感度が低下するため推奨されません。

解釈

一般的に、下肢を30度から70度の範囲で挙上した際に坐骨神経痛が発生した場合、ラセーグ徴候は陽性であるとみなされます。これは、腰椎椎間板ヘルニアなどが原因で坐骨神経が圧迫されている可能性を示唆します。一方、検査が陰性であった場合、腰痛の原因は別の場所にある可能性が高いと考えられます。

ラセーグ徴候は、馬尾、神経根、坐骨神経などの障害を示唆する所見です。頚部におけるスパーリング徴候と同様に、神経根の異常を示唆します。陽性の場合、患者を腹臥位にし、臀部から大腿後面にかけて圧痛（Valleix圧痛点）がないかを確認します。

逆ラセーグ徴候

ラセーグ徴候を調べる際、下肢を挙上していない側の坐骨神経領域に痛みが生じることがあります。これは逆ラセーグ徴候と呼ばれ、痛みが誘発された側とは反対側の腰椎椎間板ヘルニアによる坐骨神経への圧迫を示唆する重要な所見です。

歴史

ラセーグ徴候は、フランスの医師シャルル・ラゼーグ（Charles Ernest Lasègue）にちなんで命名されました。ラゼーグ自身は、この徴候について記述しましたが、彼自身が「ラセーグ徴候」という名前をつけたわけではありません。1881年に、ラゼーグの弟子であるJ.J.Forstが、坐骨神経痛を装う兵士を鑑別するためにこの検査を紹介しました。

注意点

ラセーグ徴候は、あくまで坐骨神経痛の原因を特定するための参考となる所見の一つです。診断を確定するためには、他の検査結果や患者の症状と合わせて総合的に判断する必要があります。

関連項目

腰痛
坐骨神経痛
椎間板ヘルニア
神経根症

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