ラッシング・ビート

『ラッシング・ビート』は、1992年 3月27日にジャレコからスーパーファミコン用ソフトとしてリリースされたベルトスクロールアクションゲームです。カプコンの『ファイナルファイト』などが人気を博していた時期に登場し、スーパーファミコン向けのオリジナル作品として好評を得て、シリーズ化されることとなりました。日本国外では『Rival Turf!』というタイトルで発売されています。

ゲームシステム

本作の操作は十字キーによる移動に加え、攻撃、ジャンプ、特殊攻撃にそれぞれ割り当てられた3つのボタンを使用します。特定のボタンと方向キーの組み合わせで、連続攻撃やジャンプ攻撃、ダッシュ攻撃、そして敵を掴んでからの投げ技など、多彩なアクションを繰り出すことが可能です。特に、LまたはRボタンを押しながら移動することでダッシュができますが、後のシリーズ作品ではコマンド入力に変更されています。画面内の敵を一掃できる特殊攻撃は強力ですが、使用するとゲーム中にカウントされる「倒した敵数」が5人分減少するという制約があります。このカウントが5人未満の場合、特殊攻撃は使用できません。

怒りモード

本作を含むシリーズの特徴的なシステムに「怒りモード」があります。プレイヤーキャラクターが敵からダメージを受け続けると、体が点滅し始め、一定時間だけ無敵状態になると同時に攻撃力が向上します。さらに、無敵時間中は特定の投げ技やダッシュ技がより強力なものに変化します。このモードはオプション設定で有効/無効を切り替えることができます。続編では、通常時でも強力な投げ技を出すための隠しコマンドも存在しました。

アイテム

ステージ中には様々なアイテムが登場します。攻撃に使えるアイテムとして、ナイフや岩、レンガなどは敵に投げつけてダメージを与えられます。ダイナマイトや手榴弾は放物線を描いて投げ、着弾地点で爆発を起こしますが、爆風に巻き込まれると自分もダメージを受けます。スパナ、バット、サーベルといった武器は手に持って直接敵を攻撃するためのもので、投げたり地面に置いたりすることはできません。体力回復アイテムとしては、ソフトドリンク（約1/8回復）、ホットドッグ（約1/4回復、2人プレイ時限定）、すし（約1/2回復）、鳥の丸焼き（全回復）があります。

VSモード

本作には、プレイヤー同士で対戦できる「VSモード」が搭載されています。まるで対戦格闘ゲームのように、プレイヤーキャラクターであるリック・ノートンとダグラス・ビルドを使用して1対1の戦いが楽しめます。先に2ラウンドを先取した方が勝利となります。

ストーリーと舞台

物語は、ネオ・シスコ州警察の刑事であるリック・ノートンの妹、マリアが誘拐されたことから始まります。犯人は、マリアが持っていたビデオテープとの交換を要求。時を同じくして、街では新型覚醒剤「ジーカス」が蔓延しており、その密売組織「ジョウカル」の実態は謎に包まれていました。ノートンは、長年の相棒であり父親のような存在である巡査部長のダグラス・ビルドと共に、妹の救出とジョウカル壊滅を目指して戦いに身を投じます。

冒険の舞台は全部で6つのステージで構成されます。最初はネオ・シスコ市内のストリートやスタジアム、摩天楼といった場所を巡り、途中からは南米のジャングルや港へと移動。最終決戦の地はジョウカルの本拠地である研究所です。一部ステージには、条件を満たすと行ける隠しワープルームも存在します。

登場人物

プレイヤーが操作するのは、主人公のリック・ノートンと相棒のダグラス・ビルドです。26歳のリック・ノートンは警察の刑事で、スピードを活かした素早い攻撃や飛び蹴り、スライディング、投げ技などが得意な青年です。一方、44歳のダグラス・ビルドは元プロレスラーという異色の経歴を持つ巡査部長で、パワーを重視したボディ・アタックや強力な投げ技で敵を圧倒します。どちらのキャラクターも、怒りモード時には特定の技がさらに強化されます。英語版では、彼らの名前を含め、多くのキャラクター名が変更されています（例：リック・ノートンはJack Flak、ダグラス・ビルドはOozie Nelson）。また、ビルドの肌の色も日本版より濃くなっています。

敵キャラクターも多種多様です。最も弱い雑魚敵であるカミカゼやライド、長身でキックを得意とするスリックやボブ、忍者のような装束で強力な蹴りを放つショウやリュウ、エルボードロップが強力な肥満体型のブッチーやビッグ・エル、格闘家タイプでバク転回避も行うカトウやポー、そして投げ技の威力が高い筋肉質のアーノルドやギガンテなどが登場します。

各ステージの最後には強力なボスが待ち受けます。ステージ1のボスであるターバン姿のシン、ラジカセを持つホンキー（ステージ2）、仮面をつけたT オマリー（ステージ3）、サングラス姿のキャプテン（ステージ4）、覆面姿のカーン（ステージ5）など、個性的な敵と戦うことになります。これらのボスの多くは、最終ステージであるジョウカル研究所でも再登場します。そして、最終ボスとして立ちはだかるのは、ジョウカルの首領であるキンタークです。道着姿でエネルギー弾や突進攻撃を仕掛けてくる強敵ですが、倒した後に驚くべき事実が明らかになります。

英語版と移植版

日本国外版である『Rival Turf!』では、キャラクター名や地名の変更、オプション設定の違い（日本版の難易度・ストック数変更に対し、英語版はBGM/SE設定）、敵を倒した際の演出変更など、いくつかの差異が見られます。

近年では、『スーパーファミコン Nintendo Switch Online』にて配信されており、ここでは一部の雑魚敵（リュウ→Dingo）やボス敵（シン→Genie）の名前が海外版に統一されるという変更が施されています。

評価とシリーズ展開

発売当時のゲーム雑誌による評価は分かれました。『ファミコン通信』のクロスレビューでは、動きのぎこちなさなどが指摘され、20/40点という評価でした。一方、『ファミリーコンピュータMagazine』の読者投票による「ゲーム通信簿」では20.97/30点を得ており、スーパーファミコン全ソフト中で一定の順位に位置付けられています。後年のゲームムックでは、武器の使い勝手の悪さや敵の無敵時間などが難点として挙げられています。

本作はシリーズの第一弾として成功し、翌年には『ラッシング・ビート乱複製都市』、その翌年には『ラッシング・ビート修羅』が発売されました。そして、2025年には約30年ぶりの新作となる『RUSHING BEAT X: Return Of Brawl Brothers』が発売予定となっています。

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