ラドミル・プトニク

ラドミル・プトニク：セルビアを勝利に導いた元帥

ラドミル・プトニク（Радомир Путник、1847年1月21日 - 1917年5月4日）は、セルビア王国の軍人であり、元帥（Vojvoda）の位にまで上り詰めた人物です。彼の生涯は、セルビアの軍事史における重要な転換期と深く結びついています。

若き日の軍人

セルビアのクラグエヴァツで生まれたプトニクは、1866年にベオグラードの軍事学校を卒業し、歩兵の道を歩み始めました。初期の頃は国防省軍事測量課に勤務し、着実にキャリアを重ねていきました。1876年の露土戦争では、ルドニッチ旅団の副官や参謀長、さらには旅団長代行として活躍し、その軍事的な才能を発揮し始めます。続く1877年～1878年の露土戦争にも従軍し、経験を積みました。

軍事教育と冷遇の時代

1879年にはロシア帝国に留学し、帰国後は国防省砲兵課長に任命されます。1883年からはドナウ師団参謀長として勤務し、1885年のセルビア・ブルガリア戦争にも参加しました。1889年からはセルビア高等軍事学校で教鞭を執り、後進の育成にも尽力します。しかし、オブレノビッチ王朝の時代には冷遇され、1896年に退役を余儀なくされました。

復活、そして栄光の時代へ

オブレノビッチ王朝が倒れ、カラジョルジェビッチ王朝が成立すると、プトニクは再び脚光を浴びます。1903年秋には参謀総長に任命され、軍の中枢に復帰。1906年と1912年には国防相を務め、軍の近代化に貢献しました。1912年の第一次バルカン戦争では、最高司令部参謀長としてセルビア軍を指揮し、勝利に大きく貢献しました。1913年の第二次バルカン戦争でも、ブルガリア軍を相手にセルビアを有利な状況へと導きました。

第一次世界大戦と苦難の晩年

第一次世界大戦が勃発した時、プトニクはオーストリアで療養中でしたが、抑留されました。しかし、フランツ・ヨーゼフ1世の特別命令により釈放され、ルーマニア経由でセルビアに帰国。最高司令部参謀長（最高司令官はアレクサンドル摂政）として、再びセルビア軍の指揮を執ることになります。オーストリア・ハンガリー軍の第一次セルビア侵攻（1914年8月）では、敵軍を撃破し、ドリナ川とサヴァ川まで押し戻しました。続く第二次侵攻では、ルドニク会戦（12月）でオーストリア・ハンガリー軍を打ち破り、多大な損害を与えました。

しかし、1915年10月～12月の戦役では、セルビアはドイツ、オーストリア・ハンガリー、ブルガリアの三国から攻め込まれ、危機的な状況に陥ります。プトニクは、セルビア軍をアルバニアへと退却させ、その後、残存部隊をコルフ島に撤退させるという苦渋の決断を下しました。1916年初めには重病を患い、治療のためフランスへ。翌1917年にその生涯を閉じました。

ラドミル・プトニクは、セルビアの激動の時代を生き抜き、軍人としてその才能をいかんなく発揮しました。彼の戦略とリーダーシップは、セルビア軍の勝利に不可欠であり、祖国への貢献は後世まで語り継がれています。

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