ラニ (競走馬)

ラニ：天国の馬、そして未来への架け橋

2013年2月22日、アメリカで誕生した競走馬ラニ。ハワイ語で「天国、天空」を意味するその名にふさわしく、ラニの競走生活は、まさにドラマチックな展開をみせました。日本調教馬として初めてUAEダービーを制覇し、さらにアメリカクラシック三冠レース全レースへの挑戦という快挙を成し遂げたのです。しかし、その輝かしい実績の裏側には、激しさゆえに「ゴジラ」や「クレイジーホース」という異名で呼ばれた、類まれな気性も存在しました。

激動のキャリア：デビューからUAEダービー制覇まで

ラニは、日本で競走馬として育成されました。2歳時のデビュー戦では4着と結果を残せず、未勝利戦でも2着に終わるなど、順風満帆とは言い難いスタートでした。しかし、持ち前の才能を開花させると、連勝街道を歩み始めます。

3歳になると、ラニの陣営は、アメリカクラシック三冠への挑戦を表明。ケンタッキーダービーへの出場に必要なポイント獲得を目指し、UAEダービーへの出走を決断します。ヒヤシンスステークスでは5着と敗れ、UAEダービーへの出走は難しいと見られていましたが、招待を受け、レースに臨みました。

UAEダービーでは、スタートで出遅れ、後方からレースを進めます。しかし、中盤からポジションを上げ、最後の直線では逃げ馬を交わし、見事優勝。日本調教馬として初の快挙を達成しました。この勝利は、アメリカクラシック三冠への挑戦をさらに現実のものとしました。

アメリカクラシック三冠への挑戦：激闘の軌跡

UAEダービー制覇後、ラニはケンタッキーダービー、プリークネスステークス、ベルモントステークスとアメリカクラシック三冠全レースに出走するという、日本調教馬として前例のない偉業に挑戦します。

しかし、どのレースでもスタートで出遅れ、後方から追い上げる展開を強いられることになります。ケンタッキーダービーでは9着、プリークネスステークスでは5着と悔しい結果に終わりますが、最終戦のベルモントステークスでは3着と健闘。日本調教馬としてアメリカクラシック三冠全レースへの出走を果たした歴史に名を刻みました。この挑戦は日本中に大きな注目を集め、2017年からは日本の競走の一部がケンタッキーダービー出走への選定レースとして扱われるようになりました。

種牡馬としての新たな挑戦

アメリカ遠征後、帰国したラニは国内レースに専念。その後、2017年に現役を引退し、種牡馬となりました。初年度は118頭の牝馬が集まりましたが、近年は産駒の活躍次第で交配数は変動しています。

ラニの産駒は、2021年に初勝利を挙げ、2022年には重賞競走を制覇するなど活躍を見せています。特に、リメイクは2022年のカペラステークス、2023年のクラスターカップ、コリアスプリントで優勝し、ラニ産駒の新たな地平を切り開いています。

華麗なる血統：伝説への系譜

ラニの母であるヘヴンリーロマンスは、天皇賞（秋）、札幌記念、阪神牝馬ステークスといった重賞競走を制した名牝です。また、半兄には、数々の重賞競走を制覇したアウォーディーがおり、その血統背景からも、ラニの才能がいかに優れていたかが伺えます。6代母には1942年のCCAオークス勝ち馬であるVagrancyも名を連ねています。

天国の馬、そして未来へ

ラニは、その激しさゆえに困難を極めた競走生活を送りましたが、持ち前の才能と、関係者たちの尽力によって数々の偉業を成し遂げました。そして、種牡馬として、新たな才能を世に送り出し続けています。ラニの物語は、これからも多くの馬たち、そして人々の心に語り継がれていくでしょう。その物語は、まさに「天国」への、そして未来への架け橋なのです。

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