ラバン

ラバンは、旧約聖書に登場する重要な人物であり、その名前はヘブライ語で「白い」を意味します。彼はアブラハムの兄弟ナホルの孫であり、ベトエルの息子として、リベカの兄として知られています。また、ヤコブの母方の叔父にあたります。ラバンはカランに住み、多くの家畜と奴隷を所有する裕福な人物でした。

リベカの結婚とラバン

ラバンは、妹リベカがイサクと結婚する際、父ベトエルと共に、アブラハムの僕を迎え入れ、親切にもてなしました。これは、当時の結婚における家族の役割を示す出来事であり、ラバンの社会的な地位と影響力を示唆しています。

ヤコブとの関係

後に、ヤコブは兄エサウとの長子の権利を巡る争いから逃れるため、母リベカの勧めでラバンのもとに身を寄せます。この時、ヤコブはラバンの娘ラケルに好意を抱いていました。ラバンは、その気持ちを利用し、ラケルとの結婚の条件として7年間の労働をヤコブに要求しました。しかし、7年後、ラバンはヤコブを欺き、姉のレアと結婚させてしまいます。ヤコブは抗議しましたが、ラケルとの結婚のため、さらに7年間の労働を強いられました。このように、ラバンは自身の利益を優先する狡猾な一面を見せています。

ヤコブの帰郷と和解

ヤコブはラバンのもとで働き続け、家畜の群れを増やしましたが、ラバンは彼の帰郷の申し出を、自身の利益のために引き延ばしました。最終的に、ヤコブは家族全員を連れて逃亡します。ラバンはこれを追跡しますが、最終的にはヤコブと和解し、二人は石の柱を立てて契約を結びました。この時、ラバンはアラム語で「エガル・サハドタ」、ヤコブはヘブライ語で「ガルエデ」と名付けました。

ラバンの信仰

ラバンはヤハウェ信仰だけでなく、占いをしたり、ティラフィム（家庭の守り神）を拝んでいたりと、異教的な習慣も持ち合わせていました。この事実は、当時の信仰が複合的なものであったことを示唆しています。

ラバンは、聖書の中で複雑な人物として描かれています。彼は親切で裕福な一面を持つ一方で、狡猾で自己中心的であり、時に欺瞞的な行動をとる人物として描かれています。彼とヤコブの関係は、聖書の中で重要なエピソードであり、家族関係、欺瞞、そして和解というテーマを探る上で重要な役割を果たしています。

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