ラパッロ条約 (1920年)

ラパッロ条約（1920年）

ラパッロ条約は、1920年11月12日にイタリア王国とセルビア人・クロアチア人・スロベニア人王国（後のユーゴスラビア王国）の間で締結された条約です。この条約は、イタリアのジェノヴァ近郊のラパッロで調印されました。

当時のイタリア首相ジョヴァンニ・ジョリッティとユーゴスラビア首相ミレンコ・ヴェスニッチが署名しました。

条約の概要

ラパッロ条約により、以下のような領土の変動がありました。

イタリアの獲得:
イストリア半島
ザーラ/ザダル（Zara/Zadar）
ケルソ島（Cherso、現在のツレス島）
ルッシーノ島（Lussino、現在のロシニ島）
ラゴスタ島（Lagosta、現在のラストヴォ島）
ペラゴーザ島（Pelagosa、現在のパラグルジャ島）

これらの島々は、イタリアがアドリア海東岸における影響力を拡大する上で重要な拠点となりました。

フィウーメの扱い:
当初、フィウーメ（現在のリエカ）は、独立した自由国となる予定でした。しかし、1924年1月27日に両国間で締結されたローマ条約によって、フィウーメはイタリア領として確定しました。

ユーゴスラビアの獲得:
ダルマチアの他の地域
スシャク（Sušak）

これらの地域は、ユーゴスラビア王国の領土として確定しました。

条約の影響

歴史家のポール・N・ヘーンによると、この条約により「イタリア国内には50万人のスラブ人が残されたが、新生ユーゴスラビア国内には数百人のイタリア人しかいなかった」と指摘しています。

この条約は、両国の間に複雑な民族問題を生み出し、後の歴史における紛争の火種となりました。

条約の背景

第一次世界大戦後の混乱期において、両国は国境線の確定を急いでいました。ラパッロ条約は、両国の間で未解決だった領土問題を一時的に解決するためのものでしたが、その後のローマ条約で変更が加えられました。この条約締結に至る背景には、両国間の政治的駆け引きや民族間の対立が存在しました。

まとめ

ラパッロ条約は、イタリアとユーゴスラビアの領土を確定させる上で重要な役割を果たしました。しかし、その結果として多くの民族が他国の支配下に入ることになり、民族問題の複雑化を招きました。この条約は、20世紀のヨーロッパにおける国境問題と民族問題を理解する上で、重要な歴史的出来事として位置づけられています。

関連項目

未回収のイタリア

外部リンク

条約の英語訳（英語）

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