ラビ (航空機)

ラビ（Lavi） - イスラエルの試作戦闘爆撃機

ラビは、ヘブライ語で「若獅子」を意味し、1980年にイスラエル空軍の新型戦闘爆撃機としての開発が始まりました。具体的な計画は1980年2月からスタートし、1982年10月にはプラット・アンド・ホイットニー製のエンジンが選定され、技術の開発が進められました。アメリカ合衆国による資金供給があり、1983年時点では、その60%をアメリカが負担していました。

設計と技術

ラビは、豊富な戦闘経験を基に設計されており、コックピットにはイスラエルの戦訓が反映されています。特筆すべきは、操縦系の多重化や、F-16に搭載されたサイドスティックの採用、リクライニング座席の廃止などです。これにより、操縦の安全性や快適性が向上しました。

機体の形状は、デルタ翼と可動式カナード型翼を組み合わせることで、高い機動性を実現しています。空気力学的な特性が優れ、さまざまな空中任務に対応可能です。試作1号機は1986年12月31日に初飛行を果たし、そのわずか3ヶ月後には、より完成度の高い2号機が空中給油に対応する能力を持った飛行を行いました。

開発の行方

当初、五機の試作機が製造される計画でしたが、アメリカの支援が打ち切られると、資金面での問題が浮上しました。この背景には、アメリカ議会に影響を与えたユダヤ系ロビイストの活動があったとされています。これにより、イスラエルのマスコミは大々的にこの支援打ち切りを批判しました。最終的に、1987年8月30日、資金的な困難を理由にラビの開発計画は中止されることとなりました。

試作機の一部は今後の研究や技術開発に役立てられることが決まっており、2号機は空軍博物館に保存されています。また、技術実証機として未完成の3号機は、他の試作機の部品を利用して完成しました。1号機を含む残りの3機は廃棄されましたが、その後の技術開発は続けられ、イスラエル空軍の装備や海外市場向けの商品開発に寄与しています。

技術の影響

ラビの技術は他国の軍用機にも影響を与えました。特に中国製のJ-10戦闘機にはラビの技術が取り入れられているという指摘があります。機体の形状や過去の中国とイスラエルの軍事技術交流を考慮すると、この説には一理あると見られています。しかし、両国の当局はこれを否定しており、具体的な証拠は存在しません。

基本仕様

次に、ラビの基本的な仕様について紹介します。

• - 乗組員：1名
• - 長さ：14.57m
• - 翼幅：8.78m
• - 全高：4.78m
• - 翼面積：33.0m²
• - 空虚重量：7,031kg
• - 最大離陸重量：19,277kg
• - 動力：プラット・アンド・ホイットニー PW1120 ターボファン（アフターバーナー出力：91.5kN/20,600lbf）1基
• - 最高速度：毎時1,965km
• - 作戦行動範囲：3,700km
• - 実用上昇限度：15,240m
• - 上昇率：254m/秒
• - 武装: DEFA機関砲、最大7,260kgの兵装を搭載可能

ラビはイスラエルの航空技術の象徴的な存在であり、その歴史は多くの教訓を含んでいます。

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