ラビットカー

近鉄ラビットカー：俊足通勤車両の軌跡

「ラビットカー」とは、近畿日本[[鉄道]]（近鉄）南大阪線などで運行されていた通勤形車両に付けられた愛称です。その名の通り、ウサギのような俊敏な加速・減速性能が特徴でした。

概要

ラビットカーは、日本で初めて高加減速性能を実現した車両として知られています。特に、以下の3形式がラビットカーと呼ばれていました。

6800系（狭義のラビットカー）
6900系（後に6000系に改番）
6000系（全車がラビットカー塗装で落成）

ラビットカーという愛称は、旧型車両が運行する急行や準急の合間を縫って、高加減速で走行する姿がウサギを連想させることに由来します。

運用開始当初は各駅停車が中心でしたが、後に大阪阿部野橋 - 河内長野間の急行・準急にも投入されるようになり、南大阪線の主要区間で活躍しました。最盛期には、御所線や南大阪線東部区間（古市 - 橿原神宮前）の急行・準急にも運用されることがありました。

その後、ラビットカー限定運用は廃止され、塗装がマルーンに変更されてからは、吉野線や道明寺線など、他の路線でも使用されるようになりました。また、6000系以降の車両と連結される際には、性能が連結相手に合わせられ、高加減速性能は発揮されなくなりました。

高加減速性能

ラビットカーは、日本初の高加減速車両として、当時の鉄道車両の中でもトップクラスの起動加速度・減速度を誇っていました。その性能は、阪神初代5001形「ジェットカー」が登場するまでの約1年間、日本一でした。

起動加速度：4.0km/h/s
* 減速度：4.5km/h/s

ラビットカー色（塗装）

ラビットカーの登場時の塗装は、オレンジバーミリオンに100mm幅の白帯という鮮やかなものでした。しかし、1968年から1970年にかけて、塗装工程の簡略化のため、マルーン一色に変更されました。

1980年代後半には、マルーンレッドとシルキーホワイトの塗装に変更されましたが、2023年現在、登場時の塗装を再現した「復刻ラビットカー」が運行されています。

ラビットマーク

ラビットカーには、車体側面にウサギをモチーフにした「ラビットマーク」が取り付けられていました。このマークは、吉原製油の社長であり、画家としても活動していた吉原治良氏がデザインしたものです。

しかし、マルーン一色への塗装変更の際に取り外されてしまいました。その後、1987年のデビュー30周年記念、2009年の養老線、2012年の吉野線開業100周年記念で、登場時の塗装とラビットマークが復元されました。

その他のエピソード

1959年に登場した近鉄1600系は、高加減速車ではありませんでしたが、登場当初は「名古屋ラビット」と呼ばれていました。これは、同系列の社内電算記号が「R」であったことに由来します。

ラビットカーの車両色は、当時近鉄の車両部に在籍していた近藤恒夫氏が考案したものです。翌1958年に登場した特急車10000系「ビスタカー」以降の特急車でもオレンジの塗装が採用されましたが、ラビットカーのオレンジバーミリオンとは色調が異なっています。

近鉄ラビットカーは、その愛らしい愛称と俊足ぶりで、多くの鉄道ファンに愛された車両です。現在では、復刻塗装の車両が当時の面影を伝えています。

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